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[プレスリリース]ミジンコの性はなぜ環境で変わるようになった?幼若ホルモンによる遺伝子制御の「再配線」を発見
宇都宮大学大学院地域創生科学研究科博士後期課程3年の高畑佑伍さんと、バイオサイエンス教育研究センター宮川一志准教授らの研究グループは、同センターの鈴木智大准教授、静岡大学理学部の道羅英夫教授と共同で、幼若ホルモン(JH)が進化の過程で新たな下流遺伝子を獲得し、ミジンコの性決定へと組み込まれていく仕組みを、DNA配列レベルで示しました。
ミジンコは、環境悪化(短日・低温・高密度・低餌など)を感知するとオスを産む「環境依存型性決定」を行います。オスを産む際には、母親の幼若ホルモン(JH)シグナルが活性化することが知られていましたが、どのようにして子の性が変化するか、そのメカニズムは未解明でした。
そこで本研究では、ミジンコのゲノムを詳細に解析することで、vrille(vri)遺伝子が、JH(幼若ホルモン)受容体複合体(Met/SRC)によって直接働きかけられる「JH標的遺伝子」であることを明らかにしました。この遺伝子は、JHの働きによってDNA上で「スイッチが入る(遺伝子がオンになる)」ようになり、それにより対応するRNAが作られやすくなることが分かりました。さらに、ミジンコのvri遺伝子には、近縁の節足動物には見られない配列が存在しており、ゲノム編集でこの配列を取り除いたミジンコでは、JHによるvriの発現とオス産生の誘導が減弱することを示しました。
この研究は、生物進化において、ホルモンや遺伝子などの生体因子の間の制御関係が繋ぎ変えられる「再配線」の重要性を理解する上で重要な知見です。
本成果は、2026年1月16日付で米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に掲載されました。
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プレスリリース
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宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター
宮川 一志 准教授
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研究者総覧 宮川一志 准教授
バイオサイエンス教育研究センター