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宇都宮大学発の水稲品種「ゆうだい21」のゲノムを解読し、不明であった育種親や優れた食味の遺伝的基盤を明らかにしました
宇都宮大学農学部の池田裕樹准教授らと、かずさDNA研究所の白澤健太博士は共同で、本学が育成した水稲「ゆうだい21」のゲノム解析を行いました。「ゆうだい21」は、本学が2010年に品種登録した水稲品種です。しかし「ゆうだい21」の育種親や、その優れた食味に関係する遺伝的な要因などは、未解明でした。そこで本研究では、最新のDNAシークエンサー(※1)を用いて「ゆうだい21」のゲノム解読を行うとともに、解読した「ゆうだい21」のゲノムDNAの塩基配列を、既知の水稲品種のゲノムDNAや、これまで水稲で明らかにされている遺伝子と比較して解析を進めました。
その結果、「ゆうだい21」の遺伝背景は「コシヒカリ」で、ゲノムの少なくとも6箇所がアウス型イネ(※2)のゲノムDNA断片に置き換わっていること、アウス型イネに「コシヒカリ」の花粉が交配したことで、「ゆうだい21」の元となった水稲が生じたことが明らかとなりました。また「ゆうだい21」は37,522個の遺伝子を保有しており、そのうち1,017個で「コシヒカリ」の遺伝子と塩基配列に違いがみられたことから、これらの遺伝子の中に「ゆうだい21」の優れた食味や貯蔵適性、高温栽培でも未熟粒の発生が少ないといった特性に関連するものがあると考えられます。
本研究成果は、「ゆうだい21」の育種背景や、近年コンテストで食味が全国的に高く評価されていることなどと合わせて、学術誌「PLOS One」で公開されました。
※1 DNAの塩基配列を解読する装置。
※2 インドやバングラデシュなど南アジアで古くから栽培されてきたイネの品種群のこと。世界の主流であるジャポニカ型(日本のお米など)やインディカ型(タイ米など)と近い関係にあるが、別の系統として扱われる。代表的な品種に「カサラス」がある。
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プレスリリース
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宇都宮大学 農学部 池田裕樹 准教授
TEL: 0285-84-2426
E-MAIL: h.ikeda※a.ustunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に変更してください。)
【関連リンク】
研究者総覧 池田裕樹准教授
かずさDNA研究所 先端研究開発部 植物ゲノム生物学研究室