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研究

農学部の岩永将司准教授が令和3年度日本蚕糸学会賞を受賞しました

 農学部生物資源科学科の岩永将司准教授が令和3年度日本蚕糸学会賞を受賞しました。受賞対象研究は「昆虫由来培養細胞に潜在感染する Bombyx mori latent virusに関する研究」です。岩永准教授は「昆虫ウイルスと宿主の相互作用の解明」を研究テーマとしており、今回の受賞は「培養細胞に潜在感染しているウイルスの解析という基礎的な側面と、産業利用されている培養細胞に混入している潜在感染ウイルスの安全性評価や不活化法という応用的な側面」が評価されました。

 「Bombyx mori latent virusは、宿主細胞に潜在感染し、宿主を致死させることなく、ただひたすらに増殖し続ける持続感染型のウイルスです。このウイルスの研究をここ10年ほど研究室の学生さんたちと続けてきたことが評価されたことは大変うれしいことです。」と受賞の喜びを語りました。

 昆虫培養細胞は組換えタンパク質発現系などで医薬品の製造にも利用されています。そのため、培養細胞の中に潜在感染しているウイルスは大きな脅威にもなり得ます。一方で、潜在感染は宿主の生体防御機構をかいくぐって成立させているものであり、非常に興味深いウイルスと宿主の相関が存在します。岩永准教授らは、Bombyx mori latent virusの安全性の評価や不活化法を開発しただけでなく、本ウイルスに対する宿主側の生体防御機構がsiRNAによるサイレンシングだけでなくpiRNAによるサイレンシングを受けていること、そして共感染している他のウイルスとも相互作用して別種のウイルス封入体に相乗りすることを明らかにしました。「これからも、学生さんと楽しく研究していきたいと考えています」と話しています。

【関連リンク先】
・宇都宮大学農学部分子昆虫学研究室
http://shigen.mine.utsunomiya-u.ac.jp/insectbiotechnology/

・[プレスリリース]植物ウイルス様昆虫ウイルスが別のウイルス封入体に"相乗り"することを発見
https://www.utsunomiya-u.ac.jp/topics/research/007609.php

・[研究成果発表]見た目は植物ウイルス、でも昆虫細胞に持続感染しているウイルスの謎を解明
https://www.utsunomiya-u.ac.jp/topics/006117.php