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[プレスリリース]イチゴ遺伝子の機能解析法の開発 ― 野生イチゴを用いた迅速解析 ―

 商業用栽培イチゴ(Fragaria × ananassa)の品質向上には、形・味・香りなどの形質を決定する遺伝子機能の理解が不可欠です。しかし、栽培イチゴ は8倍体という複雑なゲノム構造を持つため、遺伝子機能の解析は困難とされてきました。そこで宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターのタグン・チョンプラクン特任助教と児玉豊教授は、2倍体の野生イチゴ Fragaria vesca(和名:エゾヘビイチゴ)の葉の細胞に外来遺伝子を一過的に導入するアグロインフィルトレーション法*1を開発し、イチゴ遺伝子の機能解析を可能にする実験系を構築しました。
 本研究では、イチゴの花の形態を制御する転写因子を葉細胞に一過的に発現させ、レポーター遺伝子*2を用いた転写活性化解析によってその機能を評価し、遺伝子制御機構の一端を明らかにしました。今後は本手法を用いて様々なイチゴ遺伝子の機能が解明され、将来的にはイチゴの品種改良への貢献が期待されます。
 本成果は、2025年7月1日付で国際学術誌 Scientific Reports に掲載されました。

■用語解説
*1 アグロインフィルトレーション法:土壌細菌の一種アグロバクテリウムを使って植物の細胞に目的の遺伝子を一時的に導入する技術であり、遺伝子の働きを速やかに調べることが可能な技術。
*2 レポーター遺伝子:目的の遺伝子の発現量やその制御を調べるために用いられる遺伝子で、発現すると光を放ったり、色素反応を起こしたりすることで、発現の有無や強さを視覚的に評価することが可能。本研究ではGUSやGFPが用いられた。

8倍体栽培イチゴと2倍体野生イチゴの写真

8倍体栽培イチゴ(左)と2倍体野生イチゴ(右)


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バイオサイエンス教育研究センター
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