トピックス

メディア 研究

[プレスリリース]魚に首の骨(頸椎)はあるのか?-脊椎動物の共有形質「背骨」の進化を探る-

 埼玉大学大学院理工学研究科の川村哲規准教授、国立遺伝学研究所の前野哲輝技術専門職員、宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの松田勝教授及び岩波礼将特任准教授らは、椎骨の個性をもたらすHox(ホックス)遺伝子を壊したゼブラフィッシュやメダカを多種類作製し、どの位置の椎骨に異常が生じ、椎骨の個性を決めているかを調べました。その結果、魚の2番目の椎骨は「胸椎」と考えられ、魚の最前部の椎骨のみが「頸椎」と類似した性質をもつ可能性を示しました。

 脊椎動物のからだに共通してみられる背骨は、椎骨が連なった繰り返し構造をしています。ヒトの各椎骨は前方から、首の骨である「頸椎」、肋骨と接続する「胸椎」、そして「腰椎」、「仙椎」、「尾椎」と分かれています。魚にも肋骨があり、「胸椎」をもっています。
 マウスを用いたこれまでの研究から、さまざまなHox遺伝子が椎骨の個性を決定することが示されていました。今回、マウスで最前部の胸椎(肩の位置)を決めるHoxc6と同じ遺伝子をゼブラフィッシュで壊した結果、前方の椎骨の一部に異常が生じたことから、首の骨のように見えた椎骨は元々「胸椎」であったことが分かりました。
 この研究から、哺乳類の殆どは頸椎を7つもつのに対し、魚は1つしかもたない可能性が示され、脊椎動物は陸上に進出した後、「頸椎」の数を増加させ、複雑な機能をもつ「首の構造」を発達させたことが示唆されました。

 本成果は、発生生物学の専門誌 『Development』に6月28日付でオンラインにて掲載されました。

 プレスリリースの内容はこちらをご覧ください。


【お問い合わせ先】
バイオサイエンス教育研究センター 教授 松田勝
TEL:028-649-8155
E-mail:matsuda※cc.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に変更してください。)

【関連リンク】
研究者総覧 松田勝 教授
バイオサイエンス教育研究センター