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[プレスリリース]樹高や枝分かれ構造に影響する要因を解明! - 世界13カ国、18研究機関による7年間の挑戦 -
<発表のポイント>
■樹形の変異に富んだ白樺Betula pendulaを利用し、低木に特徴的な表現型を決める要因に植物ホルモンのストリゴラクトンの関与が示されました。
■樹高が低く枝分かれが多い低木状の特徴をもつ白樺の変種kanttarelliではストリゴラクトン生合成遺伝子BpMAX1に欠損が確認され、同様の表現型は野生型におけるBpMAX1の機能阻害でも誘導されました。
■ストリゴラクトンは樹高や枝分かれ構造に影響するだけでなく、他の植物ホルモンであるオーキシンの分布にも影響を与えることが示されました。
<研究の概要>
地球上の樹木は多様な構造や形態を獲得した結果、様々な環境に適応していることがわかっています。私たちの生活においても樹木の研究は、木材生産や果樹・農作物の管理、生態系の保全などにも関わる重要なテーマです。しかし、寿命の長い樹木を対象とした研究には長期間の観察を必要とするため、樹形に関わる機構については不明な点が多いのが現状です。例えば高木では主枝と側枝の順序が明確に定義されている一方、低木ではこれらの分岐パターンは不明です。このような背景の中、フィンランドに自生する白樺Betula pendulaにおいて、植物ホルモンのストリゴラクトンが低木に特徴的な枝分かれ構造や生長に関与することが示されました。本研究は、宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの謝肖男准教授をはじめ、フィンランド、イギリス、ドイツ、ベルギー、ブルガリア、フランス、アメリカ、シンガポール、中国、チェコ、スウェーデン、ポーランドの18研究機関の研究者らによる7年にわたる共同研究にて実施され、11月20日付けて国際学術誌 Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)に掲載されました。
<研究エピソード>
白樺B. pendulaを用いた本研究の分析は、本来ならばヘルシンキで行う予定でした。しかし、コロナ禍に入りそれが叶わず、フィンランドから日本に送ってもらったサンプルを用いて研究を進めていました。ところが、気候が合わないために植物が全滅してしまったのです。樹木は成長が遅いため、再度、ヘルシンキから日本にサンプルが届いたのはおおよそ一年後のことでした。それらのサンプルを分析して何とか形になったのが今回の研究成果です。
謝肖男 准教授 研究室ホームページ
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