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[プレスリリース]高速・高精度3次元レーザー加工装置の開発 -半導体やガラスの切断や穴開けの高速化・高精度化への貢献に期待-

 オプティクス教育研究センターの早崎芳夫教授、長谷川智士助教、張弘昊 工学研究科博士後期課程は、透明材料内部の異なる深さに同時にレーザー加工を行う機能を備えたレーザー加工装置を開発しました。通常のレーザー加工装置において、異なる深さに加工する場合、自動ステージを光軸方向に移動して、サンプル内のレーザーを集光する深さを調節する事によって行われます。本開発では、空間光制御技術によって、同時に異なる深さに集光するようにレーザービームを成形することで、高速な加工が可能になります。さらに、ディジタルフィードバック制御技術を組み合わせる事で、レーザービームの3次元集光を高精度に設定可能となり、半導体やガラスの切断や穴開け等、産業において有効な技術となります。
 本研究成果は、11月26日にエルゼビアが出版するOptics and Lasers in Engineering誌に掲載されました。

【概要】
●新開発のレーザー加工装置には、レーザービーム形状を自在に整形できる空間光制御技術が実装される。
●空間光制御技術とは、1本のレーザービームを1000本に分岐したり、フラットトップビームにするなど、レーザー加工の高速化や高効率化に有効な産業技術として利用されつつある。
●そのキーデバイスである液晶空間光変調素子(LCOS-SLM: liquid-crystal on silicon spatial light modulator)には、計算機ホログラム(CGH: computer-generated hologram)を表示される。
●宇都宮大学オプティクス教育研究センター・情報フォトニクス研究室の早崎教授と長谷川助教、張博士課程大学院生は、このホログラフィックレーザー加工と呼ばれる、計算機ホログラムを用いたレーザー加工の研究を行ってきた。
●本研究では、浜松ホトニクス株式会社の豊田氏と協力して、これまでの研究開発をさらに発展させて、レーザービームを3次元的に成形し、高速・高精度なレーザー加工を実現する手法を開発した。
●その方法は、LCOS-SLM上に表示されたCGHの再生像を、カメラを移動しながら観測し、その3次元的な観測画像からCGHを再計算する。これを連続的に繰り返すことで、レーザー加工装置は、高精度に、3次元的に並べられた集光点を生成し、レーザー加工を実行する。
●現在、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「光・量子を活用したSociety5.0実現化技術(空間光制御技術に係る研究開発)」の下、製造における国際間競争の激化や生産者人口の減少の課題の解決手段の1つである、製造のスマート化に向けて、浜松ホトニクス株式会社と協力して、国内外における空間光制御技術の社会実装を目指している。
●開発技術は、産業界から強く求められる半導体やガラスの切断や穴開けの更なる高速化・高精度化に貢献し、日本のレーザー加工産業の強靱化に大きく貢献すると期待出来る。

<問合せ先>
国立大学法人宇都宮大学
オプティクス教育研究センター
副センター長/教授 早﨑 芳夫(はやさき よしお)
TEL:028-689-7114
E-mail:hayasaki※cc.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に置き換えてください)