トピックス

メディア 研究

[プレスリリース]植物が自ら天気予報!? 夜間の低温を感知して夜明けの光応答を促進する―センサ分子によって夜明け前後で誘導される植物の新奇プライミング機構を発見―

 生物は、予測可能な環境変化に対して前もって生理反応を調節する機構をもちます。この機構のことをプライミングと呼び、光や温度などの環境因子はプライミングを誘導する代表的な要因のひとつです。

 宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの児玉豊教授を中心とする共同研究グループは、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、植物の青色光と温度のセンサタンパク質であるフォトトロピン2(phot2)が夜間の低温を感知し、夜明けの青色光応答を促進することを明らかにしました。晴れた日には放射冷却によって地表付近の気温が下がるため、植物は夜の低温を手がかりに夜明け後の晴天を予測し、光合成を活発に行えるよう青色光応答を促進したと考えられます。この現象は「低温誘導性のプライミング」と呼ばれます。

 過去に報告された低温誘導性の植物のプライミングはいずれも数日間~数ヶ月間の反応期間を要しますが、本研究で明らかになったphot2を介したプライミングは1分足らずの短時間で低温感知が完結し、これまでに知られていなかった新規の環境応答機構であると言えます。本研究成果は、将来、青色光応答の調節を利用した農作物の生産性向上など、持続可能な農業技術の確立に役立つ可能性があります。

 本研究成果は、令和7年1月30日付でJournal of Experimental Botanyに掲載されました。


プレスリリース全文は、以下のリンクからご覧ください。
プレスリリース

【お問い合わせ】
バイオサイエンス教育研究センター
教授 児玉 豊
TEL: 028-649-5527
FAX: 028-649-8651
E-MAIL: kodama※cc.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に変更してください。)

【関連リンク】
研究者総覧 児玉豊 教授
バイオサイエンス教育研究センター