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[プレスリリース]種子植物の進化の謎を解明―CYP722Aがストリゴラクトン生合成の道を切り開く―
世界的な科学誌『Science』に掲載:植物ホルモン「ストリゴラクトン」の進化的メカニズムを解明

 宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの謝肖男准教授を中心とする国際研究チーム(同大学大学院地域創生科学研究科博士前期課程1年 石黒結唯氏、カリフォルニア大学サンディエゴ校Yanran Li准教授、カリフォルニア大学リバーサイド校David Nelson教授)は、植物ホルモン「ストリゴラクトン*」の生合成において、これまで未解明だった中心的な酵素「CYP722A」を特定することに成功しました。

 CYP722Aは、ストリゴラクトン生合成の重要な中間体であるカルラクトン酸(CLA)を基質として、新規の非標準的ストリゴラクトン「16-ヒドロキシカルラクトン酸(16-OH-CLA)」を生成することが明らかになりました。この16-OH-CLAは、植物の成長を調節し、特にストリゴラクトン受容体であるDWARF14を介して植物の枝分かれを抑制することが示されています。この発見は、ストリゴラクトンが植物の環境適応や共生関係を調整する仕組みを新たに解明し、ストリゴラクトン生合成経路の進化的期限を理解するための重要な知見を提供します。

 さらに、この成果は、植物が環境に適応しながら高度な調整能力を進化させてきた過程を明らかにすると同時に、ストリゴラクトンが植物間および植物と微生物間でどのように信号として機能するかについての新たな視点を提供しました。本研究は、植物科学の分野における画期的なブレイクスルーであり、未来の農業に革新的な展望をもたらすものとして注目されています。

 この研究成果は、令和7年1月17日に、科学誌『サイエンス(Science)』のオンライン版に公開されました。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adp0779

*ストリゴラクトン:植物が成長や分枝を調整する重要なホルモンであり、栄養不足時に有益な土壌微生物と共生するための信号物質としても機能します。しかし、ストライガ属(Striga spp.)などの寄生植物がこのホルモンを感知して発芽することで、作物に深刻な被害を及ぼし、特にアフリカの農業生産に重大な影響を与えています。

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プレスリリース全文

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バイオサイエンス教育研究センター
准教授 謝 肖男
TEL: 028-649-5300
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研究者総覧 謝肖男 准教授
バイオサイエンス教育研究センター