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[プレスリリース]インスリン抵抗性モデルラットの開発に成功~生活習慣病発症の予防や治療法の創出に貢献へ~

 宇都宮大学農学部生物資源科学科栄養制御学研究室の豊島由香准教授、岐阜大学工学部化学・生命工学科生命化学コースの中村克行助教、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻獣医生理学教室の山内啓太郎教授、日本医科大学の南史朗名誉教授らの共同研究グループは、インスリン*1のシグナル伝達*2に重要な因子であるインスリン受容体基質IRS-1を全身で欠損させたラットの作出に成功しました。
 IRS-1欠損ラットは成長障害やインスリン抵抗性*3を示したことから、IRS-1は正常な成長やインスリンの作用発揮に必須な分子であることが明らかになりました。

 インスリンは糖代謝だけでなく、脂質やタンパク質の代謝の調節にも重要な役割を担っています。インスリンの生理作用は栄養状態によって変動し、その作用不全は糖尿病や動脈硬化など様々な疾患を引き起こします。ラットは古くからヒト疾患に関連するモデル動物として汎用されており、今回樹立されたモデルラットは、生活習慣病の発症要因と成り得るインスリン抵抗性の予防や治療法の開発に役立つことが期待されます。

 本研究成果は、1月8日、学術誌「Scientific Reports」に掲載されました(オンライン版で公開されました)。

*1 インスリン:膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きをもつ
*2 シグナル伝達:細胞が細胞外の刺激を感知して、細胞内にその信号を伝えて応答する仕組み
*3 インスリン抵抗性:インスリンの感受性が低下して、インスリンが十分に存在するのに効かない状態。肝臓、筋肉といった臓器でインスリンのシグナル伝達が何らかの理由によって阻害されることでおこる

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【関連リンク】
研究者総覧 豊島 由香 准教授
農学部生物資源科学科