分野融合型研究



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栃木県産材を活用したビル用木質断熱パネルの開発と導入効果

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●About

鉄骨造や鉄筋コンクリート造によるビルの床版に木質構造材のひとつであるCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)を使用することが既に実用化されており、数棟の建設実績がある。一方、CLTやLVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)などの木質材料は、接着成形により製造するため、所定の製造設備や品質管理が必要となり、地域の比較的小規模な工場などで製造することが難しい。
素材(丸太)から柱や梁などを加工する際には、柱や梁には向かない低質な材や製材過程で生じる端材などが多く発生する。低質材や端材は安価で取引されることが多いが、仮に製材時に発生する端材などに対する新たな需要を開拓し、高い価値を与えることができれば、地域の木材産業の新しい収入源を創出できる可能性がある。
一方、製材時の端材はその強度等が幾分劣る可能性があり、建築での使用部位が限定される可能性がある。比較的荷重の作用が小さい、外壁部材(カーテンウォール等)の構成材料として、製材時の端材を利用することができれば、新たな木材の需要に繋がる可能性がある。また、木材を基材とすることで、外壁部材の内壁面(木の面)を屋内の仕上げとしてそのまま使用し、施工コストを低減することが可能であるとともに、人に優しい屋内空間を構成することも可能である。
外壁部材には、強度性能に加え、断熱性能が必要となるため、製材時端材を基材とする外壁パネル(以下、「外壁木質断熱パネル」と呼ぶ)の実用化に向けては、同パネルの強度、おさまり、断熱性能に関する知見が必要不可欠となる。
一方、国内には改修時期を迎えている建築物が多くあり、外壁の改修に関して外壁木質断熱パネルに対する需要を期待することができる。改修工事に用いる外壁木質断熱パネルは、物件ごとにオーダーメイドになる場合が多いが、改修工事を支援する技術として、既存建築物の寸法を画像解析のよって精緻に測定することができれば、パネルの製造を円滑に行うことができる。
本研究では、外壁木質断熱パネルの普及に向けて、前述の各技術に関する開発に取り組んでいる。


●Member

中島 史郎  地域デザイン科学部・教授 研究代表者

横尾 昇剛  地域デザイン科学部・教授

茨田 大輔  工学研究科・准教授

長谷川光司  工学研究科・教授

山本 美穂  農学研究科・教授

大嶽 陽徳  地域デザイン科学部・助教

藤原 紀沙  地域デザイン科学部・助教