異分野融合スタートアップ研究



[園芸科学×生物有機化学]

タマネギの分球を制御する生理学的因子の解明

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●About

タマネギ(Allium cepa L.)は、国内ではキャベツとダイコンに次ぐ年間約115 万トン (2018 年)が収穫されている主要な野菜である。タマネギの収量を決定する最も重要な要 因は、可食部(りん茎)の肥大程度であり、研究代表者はこれまでに科学研究費補助金研 究活動スタート支援(2016-17年度)、若手研究(2019-21年度)の代表者として、りん茎 の肥大メカニズムに関する論文2報(いずれも筆頭・責任著者)を査読付きの英文誌に発 表するなど、タマネギの生産性向上に寄与する学術的研究を行ってきた。しかしながらタ マネギの収量を決定する要因は、りん茎の肥大程度のほか、抽台とよばれる花芽分化や病 害虫、分球といった複数の要因が影響し、それによりわが国の年間出荷量は約104 万トン と、収穫量に対する歩留まり率は約90%にとどまっている。その解決策として、これら歩留 まり低下の原因を究明し、科学的エビデンスに基づいた対策を行う必要がある。そこで本 研究では、歩留まり低下させるいくつかの因子のうちから「分球」に注目し、タマネギに おいて分球が生じるメカニズムを明らかにする。タマネギなどネギ属の野菜において分球 について研究した先行事例はなく、本研究は世界のタマネギ研究を先導する先駆的研究と 位置付けられるほか、栃木県のタマネギ生産は全国6位と盛んであることから、栽培の高 度化や育種を通じた地域貢献なども期待できる。


●Member

池田 裕樹  農学部・助教 研究代表者

謝  肖男  バイオサイエンス教育研究センター・准教授