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[プレスリリース]カシスに含まれる対称性ポリフェノールの全合成に成功

 カシス(Ribes nigrum)は、主にヨーロッパ、アメリカおよびアジアの北部で栽培されている食用植物です。その実はカクテルやリキュールなどの飲み物およびお菓子の原料として有名ですが、カシス葉もリーフティーや民間薬などに古くから利用されています。

 宇都宮大学農学部応用生命化学科の二瓶賢一教授は、東京農工大学大学院連合農学研究科の堀尾嘉恵(博士課程1年)とカシス葉に含まれるポリフェノール成分に着目して、その有機合成に関する研究を行ってきました。

 その結果、高度な対称性を有するポリフェノールのリベシンBの全合成に成功しました。しかしながら、その構造は提案されているものとは異なることが分かりました。そこで、リベシンBの真の構造を推定し、化学的および酵素的な反応を用いてその不斉全合成を行いました。その結果、リベシンBはイソバニリン骨格を含むめずらしい天然物であることが分かりました。

 リベシンBは興味深い構造上の特徴を持つ他、弱いながらも抗酸化性を示します。これらの成果は、今後のカシス葉の有効利用に関する有機化学的な研究に大いに貢献できるものと期待されます。

 本成果は、12月5日、学術誌「Tetrahedron Letters」に掲載されました(オンライン版で公開されています)。

 なお、本研究は、科学研究費助成事業および宇都宮大学ヤングイノベーションスカラーシップ研究グラントからの補助と、核磁気共鳴装置(400 MHz)の使用により、推進されました。

不斉全合成したリベシンBと宇都宮大学のフランス式庭園(どちらも高度な対称性を有する)


<担当・問合せ先>
農学部 教授 二瓶 賢一 
TEL:028-649-5412 
E-mail:nihei98※cc.utsunomiya-u.ac.jp
(※を半角@に置き換えてください)

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