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令和3年度学位記授与式(3月25日) 式辞

 本日、ご来賓の皆様にご臨席いただき、令和3年度の学位記授与式を挙行できますことは、大きな喜びです。本日、学士977名、修士368名、博士20名、合計1365名の皆さんに学位記を授与いたしました。また、さる3月15日には、本学および東京農工大学と茨城大学の3大学で構成される東京農工大学大学院連合農学研究科から、本学教員の指導を受けた4名の方に博士の学位が授与されました。それぞれの学位を修め、本学から巣立っていく全ての皆さんに、そして、これまで皆さんを色々な形で支えてこられたご家族および関係者の皆様に、宇都宮大学を代表して心よりお祝い申し上げます。本当におめでとうございます。
 また、この中に、70名の留学生の方々がおられます。母国を離れ言葉や生活習慣の違いも乗り越えながらの学位取得、本当におめでとうございます。
 さて、2019年から世界的に拡散した新型コロナウイルス感染症は、未だに収束が見えない状況であり、その対策のため、本学でも通常とは異なる運営を行わざるを得ませんでした。本日の学位記授与式も従来とは異なり、保護者の皆様方のご出席はお控えいただくなど、内容、規模、ともに縮小して開催していますことをご理解ください。このコロナ禍は、皆さんの修学および大学生活にも大きく影響したことと思いますが、それも含めた多くの労苦を乗り越え、本日を迎えられましたこと、重ねてお祝い申し上げます。
 皆さんがこれまでに身につけたものを、今後は、ご自身はもとより、社会の中で役立つように活用、発展させていただければ、と思っております。しかし、一方で、往々にして、役立たないと感じる場合に直面されることもあろうかと思います。少子高齢化や人口減少、カーボンニュートラル、SDGs、デジタル・トランスフォーメーション、等々、様々な分野における新しく多様な課題や目標、そしてその対策などが、世界的レベルで加速度的に進められている中で、知識や技術、そして考え方そのものも含めて、時とともに、次々と新しいものが加わり、上書きされていきます。
 したがって、これからも、研鑽を重ね、新たな知識や技術をさらに身に付けていくことが必要となります。その意味では、本日の学位の取得は、これまでの一旦の区切りであり、到達した成果の一つ、ではありますが、一方では、新たな始まり、でもあります。今後、多くの山や谷に出会い、乗り越え、渡り、進んでいかなければならないことと思います。でも、皆さんは、そのための準備を、既に済ませていると思っています。本日を迎えるために、様々な取組みを既になされてきているはずです。それは、学問を修める、研究を行う、といったことから、課外活動も含めた社会的な学びも含めて、これまで行ってきたこと全てが、先ほど申し上げた将来に向かっての準備でもあったということです。例えば、課題を解決するための手法と手順、その考察と実践、多様な情報を取り入れる柔軟かつ論理的な思考の醸成、目標達成のための継続し諦めないという精神力、多彩な人間関係の構築とその蓄積、など、これまで行ってきたことが、それを基盤にして、これからも役立つことと思います。
 その上で、今後、皆さんが、社会で活躍するために、さらに役立つと思われる姿勢、観点を少しお示しします。それは、本学で今年度より大きく標榜している、「共創」と「複眼」です。一人ひとり、個々の存在とその意思は非常に重要で大切なものですが、社会は独りで存在しているわけでも、一人で成り立っているわけでもありません。多様で多彩な存在を認識し、色々な場面で共に進んでいく、共に創り上げていく、この「共創」の概念が、社会で活躍するためには必要です。また、皆さんは、それぞれの専門分野を究めて、学位を取得されたわけで、その専門分野はとても大事な財産です。実は、高い専門性というものは、幅の広い知識と教養に支えられてこそ確立されるものです。幅広い知識に基づく多様な視点、言い換えれば、「複眼」というものをもって物事にあたることにより、変化に対応する柔軟さも得られ、新しいものへのチャレンジも図れることになります。「共創」と「複眼」という言葉を皆さんの心の片隅に置いておいていただければ、と思います。
 ところで、本日皆さんにつけていただいている青色のストールは、本日のお祝いとともに、メッセージを込めています。ストールに描かれている3本の黄色い線、これは本学の「宇大スピリッツ:3C精神」を表しています。ご存知のことと思いますが、「3C」とは、主体的に挑戦する「Challenge」の「C」、時代の変化に対応し自らを変化させる「Change」の「C」、そして、広く社会に貢献する「Contribution」の「C」の頭文字をとったものです。これらは、未来を開拓していくために重要なものであると本学は考えています。なお、社会的な行動に移すために、主体的に社会と繋がる「Connect」、責任を持って社会に関与する「Commit」、多面的に社会と協働する「Collaborate」という3Cアクションも、今年度より掲げています。「3C精神」、そして、「3Cアクション」も、「自ら」という言葉が付きます。自ら行うということが今後重要な姿勢の一つでもあります。今後、自分の道を進む時、この「3C精神」と「3Cアクション」、そして「自ら」ということを思い出していただければ、と思います。
 先ほども申し上げました通り、今後、大きな山や谷を乗り越えなければならない時があろうかと思います。その際、独りでは解決できず、誰かと相談したい、ということがあるかもしれません。その時には、もちろん、皆さんが築かれた人間関係などを精一杯活用することが肝心ですが、宇都宮大学も応援します。いつでも、本学を訪れてください。指導教員はもちろんのこと、教職員一同、皆さんを支援し、皆さんにとっていつまでも信頼でき安心できる母校でありたいと思っています。
 皆さんの前には無限の可能性が広がっています。自信を持って、自らの道を進んでください。
 あらためまして、本日学位を取得された皆さんの門出を祝うとともに、皆さんのこれからの挑戦と活躍を祈念して、学位記授与式の式辞といたします。

令和4年3月25日
国立大学法人宇都宮大学長 池田 宰


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