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平成30年 石田学長年頭挨拶

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   明けましておめでとうございます。
   皆さん、それぞれ晴れやかな新年を迎えられたことと思います。平成30年の仕事始めにあたり、ひとことご挨拶を申し上げます。まずは、新たに3年間のかじ取りを任せられましたこと、皆さんからのご期待を重く受け止めますと共に、皆さんと力を合わせ、地域の知の拠点としての本学の存在感をさらに高めていきたいと決意を新たにしているところです。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
 
   さて、皆さんご存知の通り、社会の構造が資本集約型の工業社会から知識集約型の知識基盤社会へと急速に転換する中、私も参加させていただいている中教審大学分科会の将来構想部会では、日本の高等教育の在り方、大学の進むべき方向について集中的な議論が始められています。大学にとって、新たな年の始まりは、次なる時代の大学の姿を考える機会でもあり、そこでの議論を少し紹介させていただきましょう。
 
   まず一つは、第四次産業革命、Society5.0へのうねりが高まる中、多様な分野の専門知を融合して新たな価値を創出する人材の養成や研究の在り方についての議論です。技術の分野で見れば、AIと制御技術とカメラデータなどを組み合わせた自動運転の技術、あるいはAIとゲノム編集と生物データを組み合わせた新しい薬の開発で見られるように、自身の強みである専門知を伸ばしつつも、多様な分野と協働して、新たな価値創出を支える人材の養成、更には分野横断的な研究の推進についてです。そこでは科学技術の急速な進展に伴って一層重要になる、倫理や感性といった人間性など、人文社会系も含めた多様な素養の養成も指摘されています。キーワード的に言えば分野融合です。二つ目には、人生100年時代と言われる中で起こる社会人やシルバー世代のリカレント教育など学ぶ年齢層の多様化、少子化と大学進学率の向上やグローバル化が進む中で起こる学生のポテンシャルや国籍の多様化、あるいは国籍など含め教員のバックグラウンドの多様化など、多様な価値観が集まる大学で、国際的にも通用性のある教育の質をどう保証するかという点です。すなわち多様化への対応です。三つ目には、こうした大学における教育・研究の成果によって、地域のポテンシャルを引き出し、次世代の育成も含めた地域社会・地域経済の活性化を担うという役割、すなわち地域創生も強く指摘されています。本当に、クラクラしてしまいそうな議論ですが、地方大学振興に関わる有識者会議でも同じような議論がまとめられており、これらは机上の議論ではなく、全てが連動して、全ての大学に具体化が問われる課題です。そうして、課題を適切に解決する上でのガバナンス体制や他大学等との連携も含めた組織の在り方なども含め、国立大学への期待と厳しい目が一層強まっています。
 
  こうしたなか、国立大学運営費交付金がどうなるのか、多いに気にしていたところなのですが、昨年末に発表された平成30年度予算によれば、運営費交付金の総額は今年度と同額程度で、本学に関する補助金では、武道館の改修や地域創生推進機構関係での喜ばしい内示もありましたが、現段階ではまだ全体像が不明な状況です。一方で、本学ではこれまで2年間で9名の採用が可能となった“優れた若手研究者の採用拡大”の補助金枠が財務省で削られ、この枠での新たな採用はできなくなるなど、厳しい内容も含まれておりました。
 
   とは言え、先ほどお伝えした課題を睨みながら、着実な歩みを進めていかなければなりません。各方面での存在感が高まってきた本学としては、前のめりになってはいけませんが、小回りのききやすいコンパクトさを活かして、少しでも他大学に先んじて特徴的な強みを活かす施策が続いており、それが補助金を含めた次の外部資金の獲得につながると考えています。いくつか確認してみましょう。
 
   まずは皆さんにご苦労をおかけしている大学院改革です。細分化された専門知だけではなく、多様な分野の専門知を融合した新たな価値創造を支える、そのための人材育成創出・研究の推進であり、地域を元気にするエンジンという地方大学に課せられた最も大きな課題にも対応していると考えています。総合大学での一研究科への組織替えは、おそらく初めてのチャレンジであり、文科省の担当者も大学設置審議会の審査を確実にクリアさせるため、思った以上に神経質になっている点もありましたが、3月の申請に向け教職員の方々に書類作成等のお願いをしているところです。
   同様に、工学部にあっては、本学の強みであるオプティクスと感性工学を横糸、従来の分野による専門知を縦糸にして、幅広な工学的リテラシーの上に立って、一学部一学科という改革が3月の申請に向けて進行中です。このように、どちらの組織改革も個別分野の専門知を伸ばしつつも、多様な分野と融合するという社会から大きく期待されている流れを睨み、今後の課題を先取りした改革にご苦労頂いているわけです。
  また昨年に開講した宇大未来塾は、これまで工学部を中心に進めてきた3Cものづくり講座をベースに、社会人の学び直し教育の窓口を広げたもので、加えて、今年の秋には、多様な市民の体系的な学び直しの窓口となるUUカレッジを開講する予定であり、これらを合わせ、宇大アカデミーとして地域に向けた人生100年時代の幅広な学び直し機能を充実させ、今まで以上に多様な学びに対応していきます。
   また、教育の質保証や大学間の連携強化という観点からは、栃木県における質の高い教員養成の拠点としての機能を将来にわたり維持・強化するため、群馬大学と連携した協議会を、全国に先駆けて設立し、教育学部の強化に向けて具体的な連携の在り方の議論を始めています。
   その他、地域創生推進機構と大学教育推進機構の整備やアドミッション機能、IR機能の強化、研究設備の全学共用化の推進などなど、本学は、3C精神をモットーに、将来に向かっての種を着実に播いています。しかし、一方で、こうした新たなチャレンジは皆さんに多くの負担をおかけし、それが続けば消化不良になってしまうことも事実です。進めてきた改革をきちんと消化させて形にしていくことが大切であり、そのあたりのバランスを取ることも念頭に置かなければなりません。こうした点、皆さんとコミュニケーションを取りながら、しっかりと進めていきたいと思っています。
 
   昨年は陽東キャンパスでは地域デザイン科学部の新校舎やコンビニエンスストアの建築、石井会館の改装も完了し、地域科学技術実証拠点事業等によるロボティクス関係の研究棟やガラス温室の建設も進み、キャンパスの様子もかなり変化してきました。今年は峰キャンパスの4号館や5号館の整備にも着手し、キャンパス環境の整備も進めようと思っており、2019年に控えた開学70周年に向けて、組織だけでなく目に見える形でも、あらたな宇都宮大学に向かって歩んでいるところです。
   どうか、それぞれの方々が、それぞれのお立場や分野で、本学の目指す目標に向けてベクトルの向きを合わせながら力を発揮して頂きたいと、心の底からお願いする次第です。新年にあたり、学長として改めて気持ちを引き締め、みなさんと力を合わせ、より良い大学づくり、働き甲斐のある大学づくりに励んでいきますので、どうかよろしく願いいたします。結びに、今年が皆さんにとって、そうして宇都宮大学にとって、更に佳い年になりますよう願い、年頭のご挨拶と致します。
 

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