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平成27年度入学式(4月4日) 式辞

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式     辞

   学部学生1,015名、大学院学生346名、総勢1,361名の皆さん、入学おめでとうございます。希望に満ちた新入生の皆さんをお迎えすることは、本学にとって大きな喜びです。宇都宮大学を代表してお一人おひとりを心から歓迎いたします。また、これまで温かく見守り、支えてこられたご家族ならびに関係の方々、お慶びもひとしおのことと存じます。心よりお祝い申し上げます。

   先ず始めに、皆さんが入学した宇都宮大学について、簡単にご紹介しましょう。宇都宮大学は、昭和24年に学芸学部と農学部の2学部から成る国立大学として発足しました。学芸学部というのは、現在の教育学部の前身にあたりますが、その源流は、明治6年設置の類似師範学校に求めることができます。一方、農学部は大正11年に設置された宇都宮高等農林学校の歴史と伝統を受け継ぎ現在に至っています。その後、昭和39年には工学部が設置され、平成6年には国立大学唯一の国際学部が誕生し、総合大学としての機能を拡充してきました。これまでに6万人近くの学生が本学を巣立ち、社会の第一線で活躍しています。現在の宇都宮大学には、皆さんを含め約5千名の学生が学び、340名の教員と210名の事務職員がこれを支えています。

   宇都宮大学は、“人類の福祉の向上と世界の平和に貢献する”ことを理念とし、社会と学問の繋がりを強く意識した実学の伝統が特徴といえます。このような側面を活かし、基礎的な研究だけでなく、実践的な教育と研究を通し幅広く地域社会に貢献しており、全国の大学調査では地域貢献度トップ3を長く維持し高く評価されています。

   また本学では、「3C精神」というものを大切に育てています。3Cとは次の三つの言葉、すなわち、自らのビジョンに向かって「Challenge」=主体的に挑戦し、「Change」=自らを変え、さらに「Contribution」=広く社会に貢献するという言葉の頭文字で、これこそが宇大スピリットです。この3C精神を基軸として、これまでの歴史と伝統を受け継ぎながら、学生と教職員が一体となって、さまざまな新しい試みにも挑戦し、未来に向かって変化しようとしています。

   たとえば、近年実施された教育面での大きな改革としては、すべての皆さんの実践的な英語能力の向上を目指した「宇都宮大学基盤教育英語プログラム」―これをEPUUと呼んでいるのですが―その導入が挙げられます。これは英語教育関連の学会でも極めて高く評価され、多くの他大学のモデルケースともなっています。また今年度からは、東日本一の教員就職率を誇る優れた教員養成力を更に強めるために教職大学院が開設され、工学分野では世界レベルの研究成果を活かした先端光工学を専攻する大学院が新設されました。さらに来年度からは、5番目の学部として、未来のまちづくりや地域課題に取り組む、全国初の地域デザイン科学部の新設を予定しています。3C精神による、未来に向けた新たな挑戦すべては、皆さんの学びをより豊かにすることに繋がっています。

   それでは、このような宇都宮大学で皆さんは何をどのように学んだらよいのでしょう?今から4年前、あるアメリカの研究者が「2011年に小学校に入学した子どもたちの65%が、大学卒業時に今はまだ存在していない職業に就くだろう」と予測しました。この予測が当たるかどうかは分かりませんが、産業構造や社会の姿が急速に変化する中で、私は三つの観点が重要であると考えています。まず一つは、自分の頭で筋道を立て論理的に考える姿勢です。天才でもない限り、進む方向に迷った時あるいは新たな事態に対応する時には、状況を正確に捉え、それを論理的に組み立て、将来を予測し対応するしかありません。一人でじっくり本や新聞を読む、何故そうなるのかという疑問を大切にしながら授業を受け教授と意見を交わす、多様な考えを持つさまざまな人たちと語り合い議論する、そうして自分の考えを文章にしてみる、いろいろな手段によって自分の頭で考える訓練をするよう意識していただきたいと思います。二つめは、専門分野以外のさまざまな学問に触れることです。それぞれの学問には、物事を明らかにする独特の考え方や手法があります。たとえば環境問題の解決ということをとっても、自然科学、経済学、政治学、倫理学、いろいろな学問分野で全く違ったアプローチをします。物事には多面的な見方があることを知ることで、独断的な思考から抜け出て、どんな社会になっても役に立つ、人間としての「見識の高さ」につながるはずです。宇都宮大学では1年生から基盤教育という括りで、さまざまな学問に触れることができます。専門知識の習得に興味がいくあまり、基盤教育を軽視することがないよう心がけていただきたいと思います。三つめは、行動的知性の養成です。これは本学が掲げる教育方針のひとつで、課題の解決に向けて、さまざま知を総合化し、行動につなげる能力を養成することです。問題となる現実の状況に対して自ら課題を設定し、その課題の解決に向け、それまでの知識を活かして徹底的に調べ、あるいは新たに学び、考えぬき、議論を重ね、文章として表現し、プレゼンテーションによって人に伝え、現実の行動につなげる、こうした行動的知性を磨いておけば、どんな社会になっても、どんな職業についたとしても、かならず皆さんの力が発揮されます。皆さんの行動的知性を養うため、宇都宮大学ではアクティブラーニングという形式の授業を重視しています。また、すべての皆さんが4年生で経験する卒業研究の活動の中でも、その集大成が行われるはずです。

   以上、宇都宮大学で学ぶ上でヒントとなる三つの観点、繰り返せば、自分の頭で論理的に考える姿勢、専門分野以外のさまざまな学問に触れること、行動的知性の養成についてお伝えしましたが、大学での学びは、このような“知”の習得だけに留まりません。同じ興味や意識を持った仲間達とサークル活動やボランテイア活動に参加し、あるいはさまざまな場面で積極的に仲間や友だちをつくることも、広い意味で大切な学びです。人間は社会的動物であり一人では生きていけません。課外活動によって、共に汗や涙を流し、議論をする中で、コミュニケーション能力、他人を尊重し、あるいは共感する力など、社会的動物として生き、社会の発展に寄与するための人間力が養われ、また、生涯の友人も得られるでしょう。

   こうした学生生活では、学習、進路、人間関係、さまざまな場面で思い悩む日があるかもしれません。宇都宮大学は“日本でいちばん学生を大切に育てる大学”でありたいと願い、教職員が熱意を持って、学生の目線に立った支援をしています。困ったとき、迷ったとき、遠慮せずに教職員に相談してください。また、私と直接に話しがしたい方は、学長ティータイムというものを設けていますので、遠慮無く申し出て下さい。

   式辞の締めくくりとして、新入生の皆さんへのエールを送りたいと思います。これは、私が皆さんと同じような年の頃に恩師から授かった話で、大いなる夢を持てという内容です。 

   90年程前に亡くなったフランスの女優にサラ・ベルナール、彼女は葬儀が国葬となったほどでフランス最高の女優と称されましたが、そんな彼女の言葉です。彼女は、「私の周りに素質に溢れた人は多い。しかし成功した人は多くはない。何が違うのか。そこを乗り越えるには、何十倍もの努力と、それに加えて大いなる夢が不可欠である。」という言葉を残しています。現在、私達が住む日本、私達が生きる世界や地球は、さまざまな意味で大きな渾沌の中にあり、先行きが不透明な状態にあることは否めません。しかし、だからこそ、皆さん一人ひとりが大いなる夢を持ち、そこに向かって混沌の中で迷うことなく人生を歩んで欲しいと思います。そして皆さんは今、どんな大きな夢を抱くことも許される新たな出発点に立っています。未来は皆さん自身が創るものです。大きな夢、高い目標に向かって、宇大スピリット Challenge、Change、Contribution の3C精神を心に刻み、幅広く学び、楽しく心豊かな大学生活を送って下さい。大きな夢を抱き、宇都宮大学で逞しく成長された皆さんと卒業を祝いあう日を楽しみに、私の式辞とさせていただきます。

 

                                    平成27年4月4日 佳き春の日に

                                    国立大学法人宇都宮大学長

                                    石田 朋靖

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