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平成24年度入学式(4月9日) 式辞

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   式  辞

本日、学部に入学された1,011名の皆さん、大学院に入学された370名の皆さん、ご入学おめでとうございます。 宇都宮大学の教職員一同を代表して、皆さんのご入学を心からお祝いし、歓迎いたします。また、これまで新入生を温かく見守り、支援してこられたご家族の皆様にお祝い申し上げます。

宇都宮大学は、1949年(昭和24年)に、当時の学芸学部と農学部の2学部から成る国立大学として発足しました。学芸学部は、その後、教育学部に名称変更になりましたが、1873年(明治6年)の類似師範学校を源流としています。農学部は1923年(大正11年)に設置された宇都宮高等農林学校が母体になっています。1964年に工学部、1994年に国際学部が設置され、4学部から構成される総合大学として発展し、今日に至っています。
発足時から今日まで、5万4千余名の学部卒業生・大学院修了生を世に送り出しました。卒業生・修了生は社会の第一線で活躍しておられます。この輝かしい伝統を守るため、教職員一同は力を合わせて、皆さんが立派な高度専門職業人へと成長されるよう全力をあげて支援していく覚悟でおります。

宇都宮大学は、「地域に学び、地域に返す、地域と大学の支え合い」を地域貢献の基本姿勢として、自らが築きあげた教育と研究の成果を社会に発信し、成果の還元と社会ニーズへの対応に努めています。この努力が実り、5年前に初めて調査された全国の国公私立大学「地域貢献度」が全国総合第1位に輝き、以後、毎年トップレベルに位置づけられています。そして、昨年度は全国総合第2位、国立大学法人の中では第1位の栄誉に輝きました。県内各自治体との共同事業を始めとして、産学官連携・地域連携の諸活動に対する皆様方の温かいご支援とご協力の賜であり、心から感謝いたしております。

また、本学は、「豊かな発想を地域に、新たな知を世界へ」をキャッチフレーズとして、高度専門職業人の育成に努めるとともに、基礎研究と最先端研究を推進し、研究の成果を地域のみならず広く世界に発信しています。5年前の2007年に、キヤノン株式会社との連携により、光学に関する科学技術研究を推進するオプティクス教育研究センターを設置し、学部及び大学院学生の教育と世界水準の研究開発を進めています。総額5億円にのぼる各種の超高精度研究設備の整備や、10年間の長期にわたる大型プロジェクト研究、栃木県光産業振興協議会を中核とした地域の産学官連携の推進など、日本一は勿論、世界水準の教育研究拠点が形成され、今後の活動を大いに期待しているところです。
光の科学技術分野以外においても、農学系のバイオサイエンス教育研究センターにおける「植物ワクチンの開発(農林水産大臣賞受賞)」、雑草科学研究センターの「植物の枝分かれに関する発見(リサーチフロントアワード受賞)」や、私たちの日常生活に直接関係する「カラスの習性と行動に関する極めて先駆的な研究」等、世界的に高く評価されている研究が数多くあります。文系分野においても国際研究、とくにアジア諸国に関する特色ある研究や、地域社会と連携した新たな町つくり構想に係る研究等が推進されており、本学の第二、第三の教育研究拠点形成が築きあげられつつあります。

学部に入学された皆さん。学部教育は、教養と専門からなりたっています。教養教育、すなわち基盤教育は専門の基礎であると同時に、皆さんの世界観の形成、人間性の涵養、心の成長に大きな役割を果たします。今後の生き方への指針を与えてくれます。青春時代に得た教養は一生の宝物であり、将来を強く支えてくれます。焦らず・あわてず・うろたえず、真に大切なものは何か、ときには哲学的に物事を考え、足をしっかりと地につけて一歩一歩前進していってください。
皆さんが高度専門職業人へと成長するには、専門の知識や技術だけでは十分でありません。世界のさまざまな異なる文化を理解し、他国の人たちと交流し、どのような場面においても「人と人との信頼関係がもっとも大切なこと」であることを理解できる人間に成長してほしいと思います。
将来、国際舞台で活躍されるとき、その根底にはいつも人間の心があることを忘れないでほしいと思います。人間の心とは、「奉仕の精神で、世のため人のために尽くすことを大切に思う心」であり、真の国際人の中核にある精神とは、「『奉仕がもつ力の大きさ』に対する『信念』」であろうかと思います。

皆さんが、教室で講義を受け、勉学に励んでいただくことの大切さは言うまでもありません。しかし、入学後は、目標も考え方も異なる他学部の学生と交流する機会が多くあります。積極的に交流を深め、心を開いて話ができる友人を多くつくって下さい。スポーツや読書、旅行や音楽・美術、社会問題に関心と興味を持つように心掛けて下さい。そうすることによって、スケールの大きな人間に成長することができると思います。本学には、体育系や文化系サークルが沢山あります。課外活動に積極的に参加して、人との出会い、人との語らい・助け合い、互いの切磋琢磨によって、自己形成に励んでほしいと思います。宇都宮大学は、教育の一環として、「教室外における活動」を重視し、実践しています。「行動を伴う人の育成」を大切に考え、力を入れています。
大学院に入学された皆さん。皆さんには、幅広い視野を持って多方面から物事を探求する姿勢を持ち続け、前人未踏の独創的な研究を目指し、研究の心、研究する精神を培ってほしいと思います。独創的な研究を着想する一つの方法は、狭い分野に閉じこもらず、専門の枠組みを超えた異分野との連携に着目し、新たな発想はないものかと日夜考え続けることでありましょう。思い切った異分野連携の推進が一つの解決策になると思います。
私は長年にわたり、産学官連携の仕事に携わってまいりました。その経験から、異分野の連携は、「人と人との繋がりを大切にして、異なる分野を受け入れる『寛容の精神』を大切にして、新たな考え・新分野を創り出す創造の世界であり、イノベーションを展開する世界」であると考えています。このためにも、皆さんには、口先だけでなく、行動して「汗を流すことを厭わない人間」であってほしいと思います。
大学院は独創的な特色ある研究を進めるところです。研究を進めるには、指導教員との「信頼関係」が土台となります。この土台がぐらつくと混乱してしまいます。指導される先生方は寝食を忘れて最先端研究の推進に没頭された十分な経験をお持ちです。研究の苦しみ・悩み、前人未踏の成果を得たときの喜びを体験され、真理探究の精神を磨かれています。安心して研究指導を受けられ、独創的研究の創出、イノベーションの展開に励んでいただきたいと思います。
 留学生の皆さん。 宇都宮大学は、外国の51の大学と国際交流協定を結んで積極的に活動しています。今年度は323名の多くの留学生が本学に在籍して勉学に励まれます。皆さんは、言葉や文化、生活習慣が異なる本学で勉学に励まれるわけですが、夢と希望を抱いて、一歩一歩前進していってください。大学や地域が行う行事に積極的に参加し、多くの友人、知人をつくり、本学で学んだ成果とともに、たくさんの良い思い出をつくってほしいと思います。宇都宮大学は、皆さんが必要とされる支援は可能な限り行います。
 
振り返って、昨年度は、東日本大震災・原発事故のために、誠に残念ながら入学式を中止にせざるを得ませんでした。今なお、多くの行方不明の方々、多くの皆様が避難生活を強いられており、痛恨の極みでございます。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
いま私たちの努めは、明治から大正・昭和初期に活躍された物理学者・旧東京帝国大学教授であられた寺田寅彦先生が言われたように、「天災は忘れた頃にやって来る」こと、そのために、「しっかりとした科学的根拠の基に災害対策を講ずるべきこと」をよく守り、このことを後世にきちんと引き継いでいく責務があると思います。そして、私には、3.11の東日本大震災と原発事故はこれまでの人間の価値観に大幅な修正と変革を強く求めているように思えてなりません。
私たちは、いま、エネルギー、食料、人口、環境など、人類が経験したことの無い地球規模での問題に直面しています。東日本大震災を境として放射能との関わり、環境問題において危機的状況に直面しています。この困難な問題を解決するには、立場や分野を超えた幅広い連携活動が必要になります。これには、他を受け入れられる「寛容の精神」と「忍耐強く協力し合って行動する人間であること」が大切なことと思います。

むすびに、本日ご臨席いただきましたご来賓の皆様を始め、ご家族の皆様方には、新入生の成長を温かく見守っていただきたいと思います。宇都宮大学に入学された1,381名の新入生の皆さんの今後の成長と大いなる発展を期待して、私の式辞と致します。

                                                                                          平成24年4月9日  国立大学法人 宇都宮大学長 進村 武男

 

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