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平成23年度学位記授与式(3月22日) 式辞

 

1.jpg   式  辞

本日ここに学位を授与される皆さんをお迎えし,学位記授与式を挙行できますことは大変嬉しいかぎりでございます。学士の学位を授与される998名,修士の学位を授与される405名,博士の学位を授与される17名,計1,420名の皆さんがめでたく宇都宮大学を巣立っていかれます。この中には留学生57名の皆さんが含まれています。また、3月15日に,宇都宮大学・東京農工大学・茨城大学で構成される連合農学研究科博士課程の学位記授与式が行われました。本学農学研究科の教員の指導を受けられた8名にめでたく博士(農学)の学位記が授与されました。誠におめでとうございます。本日ご臨席いただきましたご来賓の皆様を始め、宇都宮大学の教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。

この日に至るまでの皆さんを支えて下さった多くの方たち,とりわけご家族の方々に,心よりお祝い申し上げます。皆さんにとって,本日の学位記授与式は,人生の節目であり,新たな歩みのスタートになります。大学及び大学院で経験された学生生活の成果をこれからの新たな実社会で存分に発揮され,日頃抱き続けてこられた夢を,ぜひ実現していっていただきたいと思います。

宇都宮大学を学びの場として選ばれた皆さんは,生涯で最も活力に満ちた時期を本学で過ごされ,多くの試練を乗り越えられ,本日めでたく学位を取得されました。学位取得は簡単にできるものではございません。お一人お一人の研鑽とたゆまないご努力の賜ですが,何よりも皆さんを経済的・精神的に支え続けてこられたご家族あってのことであり,この日を心待ちにされてこられたご家族に心から感謝しなければなりません。そして,共に学んだ友達からの励まし,多くの教職員からの直接的・間接的な指導あるいは支援への感謝も忘れずに深く心に留め,これからの新しい人生を歩まれることを念願いたします。

昨年度は、東日本大震災・原発事故のために,誠に残念ながら学位記授与式を中止にせざるを得ませんでした。今なお、多くの行方不明の方々、多くの皆様が避難生活を強いられており、痛恨の極みでございます。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
いま私たちの努めは、実験物理・地球物理学者にして随筆家・東京帝国大学教授であられた寺田寅彦先生が言われたように、「天災は忘れた頃にやって来る」ことを決して忘れず、「しっかりとした科学的根拠の基に、常に災害対策を講じておくべし」との教えを守り、また、このことをきちんと後世に引き継いでいく義務があると思います。

さて、過去の20世紀は科学技術を著しく発展させた世紀でありました。1903年のキュリー夫人による放射性元素ラジウムの発見、1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の発表以来,20世紀の100年間における科学技術の進歩には目を見張るものがありました。2度にわたる世界大戦が科学技術の進歩に拍車をかけ、世界経済は科学技術の進歩を基に展開され、更なる技術開発を強く求めました。

このような歴史の流れの中で21世紀に突入し、すでに10年余が過ぎました。そして、昨年の3月11日、私達は突如として未曾有の東日本大震災を経験しました。その影響のあまりの大きさに信じがたい自然界の驚異を痛感した次第です。大震災と原発事故はこれまでの人間の価値観に大幅な修正と変革を強く求めているように思えてなりません。
これまで、人間は自然法則を科学的に解明し、その成果を基に技術開発を続け、生活に活用し,さらに技術を発展させ、その恩恵に浴してきました。このこと自体は正しく、決して悪いことではありません。しかし、どこかに度を超えた感もあります。人間は,何事においても,偏り過ぎて度を超えることに慎重でなければならないと思います。

人間には科学技術だけでは対応しきれない多くの面があります。文化芸術・精神文化は人と人との繋がりを基盤とする人間社会に心の潤いをもたらしてくれます。私たちは、改めて、自然界と人工物、精神文化と物質文明とがよく調和した「バランス社会」の大切さを再認識する必要があります。
自然の営みをよく理解し、自然と調和して生きた昔の良さを忘れて、人工物がつくり出す便利さ・快適さを優先してきた感があります。人は自然の営みに謙虚でなければならないと思います。これからは、ともに生き、人との繋がりを大切にする心の温かい、行動を伴う人間が必要になっています。生きていて良かったと思える社会づくりを、他に任せるのではなく、自らがつくりあげていく姿勢こそ大切です。

話は変わりますが、私は,長い間,産学官連携の仕事に携わってまいりました。その経験から、産学官連携を成功させる秘訣は,人と人との繋がりを大事にすることから始まり,最後に人と人とのより良い関係が残り,このより良い関係こそ,次の大きな発展の「礎」になることを実感しました。すなわち、信頼関係がもっとも大事であることを痛感いたしました。

連携するということは,考え方が異なる分野の人たちを受け入れることであり,言葉や習慣が異なる外国の人たちとの協力体制をつくることであり、異分野を組み合わせて,新たな分野を創り出す創造の世界です。智恵を出し合って展開するイノベーション・革新の世界であります。イノベーションを推進するには,他を受け入れるスケールの大きな人間,広い心をもった人間であることが必要です。人と人との繋がり・連携が必要になればなるほど、心を開いて語ることが大切であり、そのためにも「寛容の精神」を大事にしてほしいと思います。

皆さんの前途には輝かしい未来が開かれていることを確信しています。しかし,ときには思い悩み、本気で辛抱しなければならないときもあるでしょう。思い悩み、本気の辛抱は人間を成長させてくれます。皆さんが,今後いろいろな問題に遭遇し,相談したいことがあれば,いつでも母校の門を叩いてください。宇都宮大学は卒業生との繋がりをますます強くしたいと考えています。大学は一時期の学習機関ではなく,生涯にわたる学習機関です。宇都宮大学は,これまでの輝かしい伝統を基に,思い切った大学改革と国際化を進め、皆さんの母校としてさらに誇れる大学へと一層の努力をしていく覚悟でおります。

留学生の皆さん。皆さんは異なる言語,文化,習慣の壁を克服され,学部あるいは大学院の教育を貫徹されました。これまでのご努力に深く敬意を表します。これからは本学で身につけられた知識や技術、智慧を母国発展のために大いに役立てて下さい。そして、母国と日本との友好の架け橋になっていただくようお願いいたします。

おわりに、一つお願いがあります。宇?宮大学は卒業生・修了生の皆さんを大学の重要な構成員のお一人お一人に位置付けています。卒業生・修了生の皆さんには是非とも同窓会に加入していただき、積極的に同窓会活動に参加され,宇都宮大学の詳しい情報を共有していただくようお願い致します。今年の10月27日に,卒業生のオープンキャンパスにあたる「第2回ホーム・カミングデー」を開催致します。ぜひとも元気なお姿を見せに来てください。

今後、次代を担う皆さんが夢と大志を抱き,社会人として逞しく活躍されることを,また幸運に恵まれ,健康で悔いのない人生を送られることを心からご祈念申し上げ,私の式辞といたします。

                            平成24年3月22日    国立大学法人 宇都宮大学長  進村 武男

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