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平成22年度学位記授与式(9月30日) 式辞

本日ここに皆さんをお迎えし,学位記授与式を挙行できますことを大変嬉しく思います。学士の学位記を授与される方7名,修士の学位記を授与される方9名,博士の学位記を授与される方10名,計26名の皆さんがめでたく宇都宮大学を巣立っていかれます。宇都宮大学の教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。
  
宇都宮大学を学びの場として選ばれた皆さんは,活力に満ちた人生の時期を本学で過ごされ,多くの試練を乗り越えられて,本日めでたく学位を取得されました。学位取得は,お一人お一人の研鑽と努力の賜ではありますが,皆さんを経済的・精神的に支えてこられたご家族あってのことであり,この日を心待ちにされたご家族に感謝しなければなりません。そして,共に学んだ友達からの励まし,多くの教職員からの直接的・間接的な指導あるいは支援に対する感謝の念も忘れず深く心に留め,新しい人生を歩まれることを念願いたします。
  
  さて,21世紀は持続可能な社会の実現のために,科学技術と文化芸術のバランスのとれた世紀でなければならないと思っています。過去の20世紀は科学技術を著しく発展させた世紀であると同時に,科学技術の発展に焦点を当て過ぎた感があります。その結果,地球は自然浄化の域を超えた状態にさらされ,知らず知らずの間に環境破壊が進んでしまいました。現在は逆にその修復に取り組まざるを得なくなっています。人の行為は何事においても,偏りすぎて度を超えることには慎重でなければならず,バランスのとれた感覚が必要であります。
  そして,現在,環境・エネルギー・食料問題は依然として深刻な状態が続いており,先行きに不透明感があります。しかし,歴史の教えるところによれば,新たな時代の到来は深刻な混乱期にスタートしており、しかも若い人たちの活躍によって達成されております。先行き不透明感が漂うこの時期にあるからこそ,皆さんには、人間社会において見直すべきものが他にないかと深く考え,科学技術万能の時代感覚を超えて,「科学技術」と「文化芸術」のバランスのとれた社会に変革していくことの重要性を認識してほしいと思います。
  例えば,日本が得意としている高精度な部品単体の製造技術そのものは非常に大切なことでありますが,それだけでは国際社会に通用せず,現在は世界の標準化を伴ったソフト開発を含む新しいシステム全体の提供と,さらにはシステムにその国の文化をも組み込んだ新展開が必要であるといわれています。
  そして,これらを実現していくには思い切った「イノベーション」の展開が必要とされます。「イノベーション」とは,物事を全く新しい考え方で捉えて新しい活用法を創り出す「人」の活動であり,技術革新だけでなく,いろいろなアイデアを出し,社会的に意義のある新たな価値を創造して,社会を前進させる「創造的な人や組織」を意味しています。本日,本学を卒業・修了される皆さんは,今後,社会をより良い方向に前進させる「イノベーションの担い手」になられることは申すまでもありませんが,是非ともそれぞれの分野においてイノベーションを強力に推進していってもらいたいと期待しています。
  イノベーションを展開するには,人と人との新たな「出会い」と新たな「交流」が必要であり,立場を超えて自由に語らい,お互いに「知恵」を出し合い,異分野を受け入れ,新分野を創り出す「寛容の世界を理解した人々の集まり」から出発することも忘れてはならないと思います。自ら行動して汗をかくことを厭わず、他を受け入れられる器の大きな・広い心をもった人間によって「イノベーション」は進みます。人を批判し責めるのではなく,協力し合って住みよい社会をつくっていこうではないかと呼びかけ,焦らず・慌てず・うろたえず,しっかりと足を地につけて,真に大切なこととは何かを問い直すこともイノベーションの展開には必要なことと思います。

  皆さんの前途には輝かしい未来が開かれていることを確信しています。しかし,ときには思い悩み、辛抱しなければならないときもあるでしょう。悩み迷うことは人間を成長させてくれます。ドイツの偉大な詩人ゲーテは、その著書「ファウスト」の中で,「人間は努力する限り迷うものだ。」といっています。迷ったとき,母校である宇都宮大学が皆さんを見守っていることを忘れないで下さい。いろいろな問題に遭遇し,相談したいことがあれば,いつでも,母校の門を叩いてください。宇都宮大学は,今まで以上に,卒業生との繋がりを強化したいと考えています。大学は一時期の学習機関だけでなく,生涯にわたる学習機関であるとご理解ください。
  
  最後に,皆さんが大志を抱き,社会人として逞しく活躍されることを念願し,また幸運に恵まれ,健康で悔いのない人生を送られることを祈念して,私の式辞といたします。
  

平成22年9月30日       宇都宮大学長  進村武男

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