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石田朋靖 新学長インタビュー

   石田朋靖 新学長インタビュー
 
      「日本で一番、学生を大切に思う大学でありたい」
 
※このインタビューは2015年2月に行われたものです。
 
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   宇都宮大学の新学長に石田朋靖・前副学長が就任しました。
   「新学長って、どんな人?宇大がどう変わるのかな?」
   本誌企画広報課学生スタッフたちが石田新学長を囲んでその思いを聞きました。
 
―まず、先生のプロフィールを聞かせてください
   私が生まれたのは、群馬県鬼石町(現群馬県藤岡市に合併)という埼玉県との県境の小さな町で、鉄道も塾もなかった田舎です。里山に囲まれ、野いちごやカブトムシを採り、川原で焚き火をして捕った魚を焼いて食べる、そんなことばかりして育ちました。
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   高校から親元を離れ、ひとり暮らしを始めたので、とても自由な高校生活を送っていました。その頃に強い影響を受けたものの一つが映画「アラビアのロレンス」。砂漠のシーンの美しさに圧倒されました。もう一つは、砂漠で生きる人たちを描いた『アラビア遊牧民』(本多勝一著)というルポルタージュで、自分たちとは全く価値観が違う文化に驚き、砂漠にロマンを感じていました。
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   大学に進んで何をやりたいのか、よく分かりませんでしたが、室内ではなく大きな自然を相手にした仕事をしてみたいという漠然とした夢はありました。田舎で生まれたからですかね。
 
―どんな学生生活でしたか?
   私が入学した東京大学理科II類は2年生から3年生になるときに自分の専門を決めるので、それまでにゆっくり自分の将来を考えればいいと思っていました。普通は2年間の教養学部に3年間通い、教養を深めたんですよ(?)。特に2年目は全く大学に行かず、アルバイトでお金を貯めては旅して回り、1週間に新書や文庫本を2冊以上読むことを自分に課して、ありとあらゆる本を乱読しました。また仲の良い友人と(残念、男性です!)2LDKのアパートをルームシェアしていたので、週に2〜3日は似たような友人たちが集まってきて、明け方までおしゃべりや議論を楽しんでいました。そうしたムダともいえる時間の中で、「自分って何者か」というものが、少しずつわかってきたと思いますし、今の自分の人間的な基礎をつくったんじゃないかと感じています。
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   専門を選ぶときには迷いましたが、高校時代に感じた砂漠へのロマンが蘇り、「砂漠の緑化をやりたい」と思い、農学部の農業工学科に進みました。卒業後は国際機関で砂漠の開発の仕事をしたいと考えていたのですが、4年生になるときの研究室分けでジャンケンに負け、地域計画系ではなく、土の中での水移動というような基礎研究をする研究室に配属になってしまいました。「まあ、土と水だから砂漠とも関係あるだろう」と気を取り直してやってみたら、それはそれでおもしろくてハマってしまい、結果として博士課程まで進み、大学教員の道に入りました。
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―なぜ大学の教員を志し、どんな研究をしてきたのですか? 
   私が専門とする分野では研究所が少なく、研究を続けることイコール大学教員という感じでした。それから、人と接することが好きな性格で、特に学生と接していたいという部分がすごく強かったので、何の迷いもなく大学教員を選びました。
   大学院を出て、山形大学農学部の助手の仕事に就きました。上司は非常に懐深い先生で「石田君、夢を追いかけて好きなことをやって下さい。そのためにも、いろいろな経験を積んできてください。研究室のための仕事は2割くらいの時間を使ってもらえば結構だから」といって下さったことを忘れません。いい巡り合わせがあったと思っています。その言葉に甘え、いろいろなところに調査に行くことができましたね。サハラ砂漠やタクラマカン砂漠、オーストラリアやアメリカの多くの乾燥地などでしょうか。
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   その後、23年前に宇大に助教授で転勤してくる前後から研究内容をがらりと変え、タイを中心に熱帯林の伐採が周辺環境に及ぼす影響を調べるようになりました。先日パスポートのスタンプを調べてみたら、タイには70回くらい行っています。
 
―なぜ宇大に移ってきたのですか?
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   農学系の大学教員になったときから、最後は、故郷の風土に近く、伝統のある宇都宮大学の農学部で教員生活を送りたいと思っていたので「宇大(の教員ポスト)が空いているぞ」という話が恩師からあった時、すぐに手を挙げました。赴任してから、直ぐに、大学のそばに家を建て、本籍も移し、今は完全に宇都宮の人間です。
 
―自分が学生のときと今の学生との大きな違いはありますか?
   語弊があるかもしれないけれど、私の周りにいた友人達も含め、夢を追い続けたいと思う気持ちが強かったかな。夢を抱くことができないような社会環境に変わってしまったからなのかも知れませんが、一番違うのはそこかもしれませんね。今、宇都宮大学では宇大スピリッツとして「3C精神(Challenge:挑戦し、Change:自らを変え、Contribution:社会に貢献する)」を掲げています。学生の皆さんにも、大きな夢に向かって主体的にチャレンジし、自らを変え、世の中に貢献する、そういう部分をどこかに持ち続けて欲しいと思います。
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―世の中への貢献と言えば、宇都宮大学は地域貢献度も高くて、地域との関係が近い大学ですよね
   そうですね。宇都宮大学は、「地域の知の拠点」として、地域にとって最善の課題解決の提案ができるような大学になりたいと思っています。そのためには、新しい知を創造する研究が不可欠なのは当然で、地域の課題に寄り添って研究を進める教員も少なくありませんし、思わぬ基礎研究が地域課題につながる場合もあるでしょう。そうした新しい知の創造活動を垣間見られるのが、高校までにはない大学で学ぶ面白さです。
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   教育にあっては、机の前で学ぶだけではなく、地域のなかに入って行って、現実の場面で自分たちの知識を活かしていく、足りないところはまた机に戻って学んでいく、そうした中で宇大では「行動的知性」と呼んでいるものを身につけてほしい。そして、大学で学んだことを地域のなかで生かしていけるような学生を一人でも増やしていきたいですね。栃木という地域で身につけたこうした姿勢は、日本、あるいは世界のどの地域に行っても生きるはずです。
   こうした教育や研究をベースに日本で一番地域に愛され、信頼される大学にしていきたいですね。来年度からは新しく文理融合の「地域デザイン科学部」を新設し、今までの学部と合わせて、さらに地域への貢献を強化する予定です。これについては別の機会にゆっくりお話しますが、宇大自身も3C精神で夢に向かって進んでいるのです。
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―地域といえば、地域のまちづくりなどに挑戦している学生も多いです。大学側からの支援のおかげで積極的に地域での活動に参加でき、すごくいいなって思っています
   まちづくりとか、ボランティア的なこととか、学生のみんなが大学の外に積極的に出て行き、積極的に活動しているのがすごく目立つようになってきましたね。そうした姿勢こそ私がもっとも育てたい「行動的知性」養成へのステップだし、すごくうれしい。大学として積極的に支援していることが評価してもらえているのもうれしいです。こうしたことも含め、日本で一番、学生のことを大切に思う大学でありたいですね。
 
―「日本で一番、学生のことを大切に思う大学でありたい」、学長先生からそのようにいっていただけるのは、私たち学生にとっても本当に力強く思います
   大学において一番大事なことは何かと言えば、次世代を担う優れた人材を育てることです。大学で学んだ皆さんはそれぞれの分野で何らかのリーダーになっていかないといけない。そのためには、「しっかりとした教育を行う」という大学の原点に返り、何よりも教育を重視した大学でありたいということです。学生を大切にしていきたいという思いの原点が、そこにあります。
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   それともう一つ、これは宇大の特徴だけれど、学生と教職員の間の距離が近く、顔の見える距離感で皆さんと教職員が接することができること。これが大規模大学にはない良さであり、教職員の方々は学生にきめ細かな指導や支援ができます。先程の地域の活動だけではなく、通常の授業の中でも「アクティブラーニング」が効果的に実施できるわけです。今までも学生目線を大切にしていろいろと進めてきたけれど、これからも学生の皆さんと一緒に、よりよい教育に向けてチャレンジし続ける大学でありたいですね。
 
―最後に、新入生に向けてメッセージをお願いします
   先程も言いましたが、夢を失わないでほしいということです。若い頃にとても印象深い話を読みました。葬儀がフランスの国葬となったほどの大女優、サラ・ベルナール(1844〜1923)が晩年、ある俳優の卵から、俳優として成功するために一番大切なものを聞かれたときの言葉です。正確には記憶していませんが、「私の周りに素質に溢れた人はたくさん居たが、成功した人は必ずしも多くない。何が違うのか。何十倍もの熱心さが必要なのは当然です。しかしそれだけでは足りません。最も必要なもの、それは大いなる野望です」というものです。野望は大志あるいは夢と言ってもいいでしょう。これを私流に言えば「満ちたりた人生を送るために、日常に流されるのでなく、いつも大きな夢を忘れず、その夢を活力とし、熱意をもって生きていく」ということです。現代は、さまざまな意味で大きな渾沌の中にあり、非常に夢を描きにくい時代なのかもしれません。だからこそ、敢えて「大きな夢をもってほしい」と言いたい。大いなる夢を持ち続け、渾沌の中に迷うことなく前向きに歩んで欲しいと思います。
 
 
石田先生インタビューこぼれ話??
 
インタビュー本編でご紹介した内容以外にも、学生がいろいろぶっちゃけた?質問を石田先生にぶつけてみました。その一部をここに大公開!脱線することも多かったけど、何でも気さくに答えてくれる石田先生に、学生たちも大感激!石田先生、お忙しいところ本当にありがとうございました。
 
Q ご家族は?
A 今は妻と二人みたいなものかな。それから可愛いパピヨンという種類の犬が一匹。一年前に一匹死んでしまって、とても悲しかったね。
 
Q 奥様との出会いは?
A それは……(恥ずかしいからオフレコでお願いしますとのことでした。残念!)。
 
Q お忙しいと思いますが、リフレッシュの方法は?
A 仕事は家に持ち込まず、家では奥さんと愛犬に孝行することが、今は一番のリフレッシュかな?大好きな旅に行きにくいので、週末のロングドライブがその代わり。
 
Q 先生のファッションセンス最高です!あまりにも学長先生がかっこいいんで感動しました!
A(少し照れながら)最近は公式な場も多いんでこんな格好だけど、高く評価していただいて......(汗)。家ではヴィンテージではない、単に古臭いジーンズ姿だけどね。
 
Q これからも多忙な日々が続くと思いますが、時間が取れればやってみたいことはありますか?
A ずいぶん海外には行ったけど、まだ行っていないところがたくさんあるからそういったところに行ってみたい。ギアナ高地のエンジェルフォール、ウユニ塩湖、南米最南端のパタゴニア。元気なうちに行ってみたいですね。そして、いろんな人と話をしてみたい。ま、当分無理かな(笑)。
 
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(2015年2月取材/撮影)