石田朋靖学長 就任挨拶

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   この度、第20代学長に就任し、宇都宮大学の歴史と伝統を継承する責任の重さに、身が引き締まる思いです。宇都宮大学の今日があるのは、歴代学長をはじめ、教職員や学生のたゆまない努力はもちろんのこと、本学に期待を寄せ、支えて下さってきた地域社会の皆様のご理解あっての賜と存じております。まずは関係各位に心より感謝申し上げます。

   私は、第20代学長として宇都宮大学をさらに飛躍させることこそが、自らの使命と考えています。そのために「行動する知性と良識を備えた、地域における知の拠点の構築」を本学のビジョンに据えることにいたしました。そして、このビジョンを実現するため、学生・教職員の信頼関係とチームワークを基盤として、学生の教育に対する熱意を何よりも大切に、社会に必要とされる国立大学であり続けることの緊張感をもって、学長に求められるリーダーシップを発揮したい所存です

   ご存知のように、大学をめぐる社会や経済の状況は大きく変化しつつあります。少子高齢化や人口減少に伴う地域コミュニティの変質、地方財政の悪化や経済的格差の拡大、グローバル化に伴う産業や就業構造の変化に見られるように、社会の不安定要因が増しています。こうした中、国立大学には「持続的に発展し活力ある社会を目指した変革へのエンジン」になるよう「自主的・自律的に改革・発展」することが強く要請されており、これにどのように応えていけるか、本学の存在意義が問われています。こうした課題をむしろ前向きに捉え、本学が個性輝く大学として進化するためのチャンスとして、積極的に対応することが必要です。

   それでは、宇都宮大学はどこに個性や輝きを求めたら良いのでしょうか?そのベースとなるのは、“顔の見える距離感”という本学の大きな特徴ではないかと考えています。この“顔の見える距離感”という特徴があったからこそ、教職員間においては、分野横断的な研究や教育、新たな観点からの社会貢献が可能となり、学生と教職員間においては、きめ細やかな教育の実績を積み重ねてくることができました。さらに、地域との連携においても、信頼に裏打ちされた実践的な教育・研究を行うための基盤となってきました。こうした特徴を活かし、「行動する知性と良識を備えた、地域の知の拠点」をビジョンとして全学で力を合わせながら、一歩ずつ宇都宮大学を前進させていきたいと思います。その第一歩として、「グローバル化社会への対応」、「イノベーション創出」、「活力ある持続可能な地域社会の形成」を基本方針として、教育・研究・社会貢献を推進し、地域の知の拠点としての機能を強化していきたいと考えています。

   大学の最大の機能である教育に関しては、“日本で最も学生を大切に育てる大学に”をモットーにして、“顔の見える距離感”を活かしたきめ細かな教育と主体的な学びを推進し、幅広い視野と深い専門性を備えつつ自ら考え社会で行動できる人材、いわば行動的知性を備えた人材の養成を進めたいと思います。また、地域との連携に関しては、企業や自治体、そこで生活する人々まで幅広く地域の声に耳を傾け、“日本で最も地域から信頼される大学に”をモットーに、地域課題に寄り添った実践的な教育・研究を進め、地域に貢献して宇都宮大学の存在感・信頼感を高めていきたいと思います。一方、こうした大学による教育や地域貢献は、研究活動に基づくことは言うまでもありません。“常にあらたな知を創造し続ける大学に”をモットーに、各分野の基礎から応用までの研究を活性化しながら、既存の枠組みを超えて連携融合を実施しやすい、柔軟性に富んだ研究体制をつくりあげていきたいと思います。こうした営為により基本方針へのアプローチを進め、ビジョンに向かって着実に歩んで参ります。

   これまでにも、大学の力を結集して3年間連続で獲得できた大学改革GPなどの競争的資金を使い、宇都宮大学の特色ある教育・研究の質向上や地域との連携を強化してきました。これらを受け、東日本の大学でトップの教員就職率を誇る教員養成機能を更に高めるために教職大学院を新設しました。さらに、世界トップレベルの光工学研究の成果を人材育成に活かすため、工学研究科に先端光工学専攻を今年度から新設しました。また平成28年度には、複合的な地域課題に対応できる、文理融合した専門知識を持った人材を養成する、日本で始めての地域デザイン科学部を新設する予定です。国際学部や農学部も、それぞれの強みと特徴を更に伸ばすための改革が準備されています。

   宇都宮大学は、これまでの伝統と蓄積を活かしつつ、社会的要請にも柔軟に対応できる大学として大きく飛躍しようと進み始めました。その中で構成員の皆で共有したい大切なことが二つあると思っています。それは自由闊達で変化を恐れない「3C精神」すなわち、Challenge:主体的に挑戦し、Change:自らを変え、Contribution:社会に貢献する精神に基づき、構成員それぞれが個性をもっとも発揮できる歩幅やペースで、本学の改革に正面から向き合っていただきたいということです。もう一つは、宇都宮大学のためにという視点に立った対話や、個別の利害を乗り越えた議論を、さまざまなレベルの組織で進めていただきたいということです。そこから生まれた前向きな提案を活かすことが不可欠と考えるからです。すなわち、「3C精神」に基づき宇都宮大学を飛躍させたいという意識の共有こそが大学の力になると信じています。

   最後に、宇都宮大学にとって、学生・教職員の皆さん一人ひとりが大学のかけがえない一員です。私は、このことを常に心に留めながら、学長としての職責としてリーダーシップを発揮し、ビジョンに向かって皆さんとともに歩んでいくことを願っています。また、「地域の知の拠点」を目指すためには、地域社会の皆様との連携・協力は欠かせません。

   宇都宮大学のさらなる発展に向けて、すべての皆様のより一層のご支援とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

                                                                                                                                                           平成27年4月1日
                                                                                                                                              国立大学法人 宇都宮大学
                                                                                                                                                             学長 石田朋靖