お知らせ

平成30年度入学式(4月4日) 式辞

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   花吹雪が風に舞うこの佳き日、宇都宮大学は、総勢1380名の皆さんを、あらたにお迎えすることになりました。皆さん、ようこそ宇都宮大学にいらっしゃいました。宇都宮大学を代表し、お一人おひとりを、心から歓迎いたします。また、これまで温かく見守り、支えてこられたご家族ならびに関係の皆さま、本当におめでとうございます。

   宇都宮大学は、150年近い歴史と伝統を持ち、そのルーツは明治から大正時代にかけて、栃木県に設置された二つの教育機関、すなわち、師範学校と宇都宮高等農林学校にあります。それぞれ、現在の教育学部と農学部の前身です。その後、地元からの強い要請を受けて54年前に工学部ができ、24年前には全国に先駆けて国際学部が設置されました。そして一昨年には全国で初めての文理融合型の地域創生系学部として地域デザイン科学部が設置され、5学部からなる総合大学として新たな歴史を刻み始めています。現在は、皆さんを含め5千名の学生が学び、350名の教員と210名の事務職員が皆さんを支えており、これまでに6万人の学生が本学を巣立ち、社会の第一線で活躍してきています。

   宇都宮大学では、伝統を受け継ぎ、更に良き学び舎として発展するために「宇大スピリッツ:3C精神」を大切にしています。それは、自らのビジョンに向かって「Challenge」=主体的に挑戦するC、「Change」=自らを変えるC、さらに「Contribution」=広く社会に貢献するということのCです。宇都宮大学では、この3C精神を大切に育て、地域に寄り添った教育研究の伝統を受け継ぎながら、学生と教職員が一体となって、さまざまな新しい試みに挑戦し、未来に向かって変化しています。
   一昨年4月には地域デザイン科学部がスタートしたのに続き、来年4月には全学の大学院を全面的に改組し、狭い専門分野だけではなく幅広な分野と連携した大学院教育を目指そうとしています。また、あらたな組織の改革だけではなく、各地の大学でモデルとなった「宇都宮大学基盤教育英語プログラムEPUU」、地域の強みを活かし世界レベルの教育研究を進める光工学、現場と最先端のバイオテクノロジーをつなぐ分子農学の教育研究、巨大企業や大規模大学を抑えてロボット大賞や発明大賞を受賞したイチゴ収穫ロボットや長距離輸送技術に関する工学・農学の連携研究など、さまざまな教育・研究の分野で「宇大スピリッツ:3C精神」による成果が花開いています。
   本日から宇都宮大学の一員と成られた皆さんには、ぜひとも「宇大スピリッツ:3C精神」のDNAを受け継ぎ、自らの未来を切り拓く力、より良き社会づくりを担う力を養って頂きたいと思います。
 
   さて、近年は人工知能の進歩が著しく、いずれ人工知能が人間の知能を超え、ロボットが多くの人間の仕事を奪ってしまうと予想する研究者も少なくありません。そうした未来社会が想定される中で、皆さんは、自らの将来、そうして、より良き社会を切り拓くため、宇都宮大学で何をどのように学んだらよいのでしょうか?三つヒントをお伝えしようと思います。
  一つめは、筋道を立てて物事を考え、それを相手と議論することです。
   論理を駆使した思考力と、それを相手と議論しながら磨き合うコミュニケーション力こそ、人工知能にはマネしにくい人間の優位点であり、どの時代であっても社会の中で活躍する上で最も必要な能力なのです。これまでのように定まった知識の習得に追われ、偏差値に一喜一憂することから解き放たれて下さい。そうして、じっくりと批判的にさまざまな本や新聞を読む、何故そうなるのかという疑問を大切にして授業を受け教授と意見を交わす、年齢や立場の異なる人も含めて、さまざまな人たちと語り合い議論する、いろいろな手段によって人工知能にはマネできない能力を養って欲しいと思います。
   二つめは、専門分野を深めることは当然として、それ以外の幅広い学問に触れることです。
   それぞれの学問には、物事を明らかにする独特の考え方や手法があります。たとえば環境問題ひとつをとっても、自然科学、経済学、政治学、倫理学、哲学や文学、いろいろな学問分野で全く違ったアプローチをします。こうした幅広な考え方を身につけることは、狭い範囲内での論理からだけでは出てこない、あらたな発想や社会のイノベーションを生み出す源となります。さらに、多面的な物の見方を知ることは、独善的な思考から抜け出て、人間としての「見識の高さ」にもつながるはずです。
   こうしたことは大学院生の方も全く変わりません。自らの強みとなる専門性を高めるだけでなく、他分野への幅広な視野を持ち他の分野とつながる能力を高めることは、大学院修了後に強く期待されるクリエイティビティーやイノベーション創出の絶対的な武器になるはずです。
   三つめは、行動的知性の養成です。
   これは、本当の知は実践との表裏でなければならないという考えに立っています。現代社会が直面する問題を意識し、課題解決に向けて、さまざまな知を総合し行動につなげる能力を磨いておくなら、どんな社会で、いかなる職業についても、かならず皆さんは持てる力を発揮できるでしょう。そのため、私たちはアクティブラーニング形式の授業を重視して、知識と実践を主体的に融合する場面や機会をできるだけ多く用意しています。さらに4年生の卒業論文研究あるいは大学院の学位論文研究では、その集大成が行われます。
 
   以上、宇都宮大学で学ぶ上での三つのヒントをお伝えしましたが、大学時代の学びは、このような"知性"の習得だけではありません。もう一つ大切な学びは、多くの生身の人間と触れ合い、また、異文化の実体験などを通して、人間としての幅を広げることです。
   積極的にサークル活動やボランティア活動に参加し仲間や友だちをつくる、あるいは国内外での旅先などで多くの人間と出会う、これも大切な学びなのです。さまざまな場面で人と触れ合い、親しい友人や仲間をつくり、スマートフォンの中での付き合いではなく、生身の人間と真正面から向き合い、共に笑い、汗や涙を流し、議論をすることによってこそ、相手の想いに共感し、相手を尊重できる豊かな人間性、すなわち人工知能では真似のできない人間力を育むことができ、また自分がどんな人間かという立ち位置を確認できるのです。
   もう一つ、短期間でもいいから世界の各地を訪問する、これも大切な学びです。現代社会では,地域の問題であっても世界の動きと密接に関係していますから、グローバルに活躍したい方はもちろん、地域の中で働く方も、国際的な視野をもっている必要があります。是非とも、学生時代に、出来合いの観光旅行ではないかたちで海外を訪問し、日本とは違う、人の営みや生活の空気を肌で感じ、異文化を体験して欲しいとおもいます。宇都宮大学には皆さんを海外に派遣するいくつものプログラムが用意されていますし、多くの方からのご寄付を使い、皆さんを経済的に支援するシステムも充実させています。
 

   以上をまとめれば、学部であれ大学院であれ、大学では"知性"の習得という学びに加えて、人間としての幅を広げる学びも積極的に心がけて欲しいということです。そうした学びを心がけるなら、どんなに人工知能が発達しても、何も心配することはないはずです。

   さあ、これからがスタートです。皆さんは今どんな大きな夢を抱くことも許される新たな出発点に立っています。未来は誰かから与えられるものではなく、皆さん自身が創るものです。大きな夢、高い目標を持ち、宇大スピリッツ:3C精神を心に刻み、幅広く学び、心豊かな大学生活を楽しんで欲しいと思います。宇都宮大学で逞しく成長された皆さんと卒業あるいは修了を祝い合う日を楽しみに、私の式辞とさせていただきます。

平成30年4月4日   
国立大学法人宇都宮大学長
石田 朋靖
 
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