お知らせ

平成27年度学位記授与式(3月24日) 式辞

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式 辞
 
   本日ここに、ご来賓ならびに関係者の皆様にご臨席いただき、平成27年度の学位記授与式を挙行し、前途有為な人材を社会に送り出すことができますのは、本学にとって大きな喜びです。ただいま学士913名、修士293名、博士14名、合計1220名の皆さんに学位記を授与いたしました。また、去る3月15日には、宇都宮大学・東京農工大学・茨城大学の3大学で構成される東京農工大学大学院連合農学研究科の学位記授与式が開かれ、本学教員の指導を受けた7名の方に博士の学位が授与されました。それぞれの学位を修め、宇都宮大学から巣立っていく全ての皆さんに、教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。また、今日のこの日を心待ちにしてこられたご家族の皆様、本当におめでとうございます。
 
   さて、皆さんに授与した「学位」、この言葉には、いったいどのような意味が込められていると思いますか? 私は、「学」と「位」、二つの観点から考えています。
 
   先ず、「学位」の「位」からお話しします。「位」という言葉には品格という意味が含まれています。皆さんには、生涯にわたって人間としての品格を強く意識した生き方をしてほしいと思いますが、特に、学位を授与されるにあたり、この言葉を再確認してほしいと考えています。なぜなら学位取得にいたるまでには、熱心な指導教員やよき友人、そして何よりも皆さんを理解して下さったご家族など、多くの方々の支えがあったはずです。更にそのような目に見える近しい方々ばかりではなく、皆さんを教育する費用の三分の二近くが税金で賄われていることを考え合わせると、国民の方々のご支援があってはじめて本日を迎えることができたのです。こうした方々への感謝の気持ちを忘れないと同時に、そのように支えられて得た学位であるという深い認識と責任感をもって、日々の生活を過ごして欲しいと思います。そのように、一人よがりでなく、相手の心や立場を大切にできる生き方によってこそ、皆さんの品格が磨かれていくのです。ぜひとも、学位という言葉がもつ、一人の人間としての品格というものを強く意識し、それを磨きながら、これからの人生を歩んでいただきたいと思います。
 
   次に「学」についてお話ししたいと思います。「学」はもちろん「学ぶ」ということを意味しますが、では皆さんはいったい何を学んだのでしょうか。
   通常、「学位」とは、学士、修士、博士、それぞれで到達のレベルは異なりますが、広い教養に基づく学術的な素養や知識を修得した証明です。宇都宮大学は国立大学として、そういった意味での「学」の質は十分に保証しておりますので、自負を持っていただきたいと思います。
   一方で、皆さんが、大学で身につけた知識そのものが、社会の中で直ぐに役立つことはめったにありません。むしろ、全く通用しないことの方が多いかもしれません。しかし、皆さんは、学位を取得する過程で、さまざまな局面で役立つ多くのものを学びました。なぜならば、皆さんが学んだ「学」とは、単なる知識を指すのではなく、知識を基礎にして自分の頭で目の前の事実をつなぎ合わせ、新たな知識や智慧として組み上げるという一連の知的能力を指すからなのです。
   例えば学位論文を作成した時のことを思い出して下さい。先行研究に基づき、新たな課題を設定し、いかに難しい課題であったとしてもそれを解くために挑戦しつづけるチャレンジ精神、これまで誰も知りえなかったような事実を把握・実証しようとする探求心、および柔軟かつ論理的な思考、事実を客観的かつ体系的に整理し伝える経験、そして、結論に至った時に得られる、あきらめなければ困難は乗り越えられるという自信。こうした知的能力の連鎖こそが「学」というものの本質なのです。そうして皆さんが本学で身につけた能力は、直ぐに役立つが直ぐに古くて使えなくなってしまうような知識や技能ではありません。社会に出た後、困難な課題を解決するための、一生の財産となるものなのです。
 
   現在、少子高齢化や人口減少、地方財政の悪化や経済的格差の拡大、グローバル化に伴う産業や就業構造の変質など、皆さんを取り巻く社会環境は厳しさを増しています。世界的に見ても経済の停滞や、地域紛争の頻発など、解決が困難な課題が山積しています。皆さんは、このような、これまでの延長線では対応できない不透明な時代、社会システムや産業構造も大きく変化する社会に飛び出していかなければなりません。そうした中で求められるのは、新しい変化に対応する柔軟さとチャレンジ精神であり、あらたな変化を予想し、課題を発見し、解決する一人ひとりの知的能力の連鎖、すなわち「学」です。そして、その「学」を正しく役立たせる人としての品格、すなわち「位」です。皆さんが宇都宮大学で得た「学」と「位」を活かし、それぞれの職場で、あるいは生活の中で、現代社会のさまざまな課題に果敢に挑戦していただきたいと思います。
 
   ところで、本日は皆さんお一人おひとりにブルーのストールをお渡しいたしました。このストールには、今お話ししてきたような意味をもつ「学位」を取得された皆さんに、ぜひとも心にとどめておいて欲しい「本学の熱い思い」が込められています。ストールをご覧ください。3本の線が描かれています。この3本の線は本学が組織として大切にし、全ての学生・教職員にも大切にして欲しいと願う「宇大スピリッツ:3C精神」を象徴しています。「3C」とは、明るい未来を開拓するために主体的にChallenge・挑戦することの「C」、時代の変化に対応し自らをChange・変化させることの「C」、そして、広く社会にContribution・貢献することの「C」のことで、学生と教職員がこの「3C」を共有し、一体となって未来を開拓し、社会に貢献しようとする強い決意を表しています。
   本学は、今後もこの3C精神に基づき、未来へ進んで行きます。四月一日からは第五番目の学部として地域デザイン科学部がスタートします。全国で初めて文理融合した地域系学部を創り、地域における知の拠点としての機能を強めるという宇都宮大学の構想の一環です。十日程前の新聞やテレビ報道でご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、このような新学部の設立を含む宇都宮大学の構想が、全国立大学の中で最も高いレベルであると文部科学省から評価をいただきました。まさにこのような評価は、新学部設立をはじめ、宇都宮大学が、社会にいかに貢献するかということに正面から向き合い、主体的に挑戦し、自らを変化させてきた結実、つまり本学の基本的な理念である「3C精神」の賜物なのです。
 
   皆さんのこれからの人生、いつも順風満帆というわけではないと思います。挑戦すればするほど失敗したり、厳しい困難に直面することもあるでしょう。しかし、昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞した、北里大学名誉教授の大村智先生は、こんなことをおっしゃっていました。
   「失敗すると沈んでしまう子が多い」が、「成功するのは誰よりも失敗した人」であり、「楽な道ばかりを行くと、本当のいい人生にならない」。
   私も大村先生の考え方に大いに賛同するものです。どうか皆さんも、困難や解決しがたい問題に直面した時、また、新たな環境に飛び出さなければならず、不安を感じた時は、ストールを眺めて母校の「3C精神」を思い出し、決して失敗を恐れず、主体的に挑戦し、建設的な変化を求め続けていただきたいと思います。本学で学位を取得され、「品格」と「知的能力」を得た皆さんなら、必ず、それができると確信しています。
 
   もちろん、チャレンジする中で失敗し、あるいは思い悩み、相談したくなることがあるでしょう。違った切り口の学びが必要になることがあるかも知れません。そのような時には、いつでも宇都宮大学に戻ってきてください。指導教員をはじめ教職員一同、一緒に悩み、考え、みなさんを支援したいと思います。あるいは、チャレンジに成功し、祝杯を上げたいときには、ぜひ宇都宮大学に戻ってきてください。一緒にお祝いするとともに皆さん自身の次なるチャレンジを後押ししたいと思います。宇都宮大学は皆さんにとって、いつでも戻ってくることができ、いつまでも信頼できる母校であり続けたいと思っています。
 
   そんな想いを込め、学位授与式の式辞をこの言葉で結びたいと思います。
   おめでとう。 いってらっしゃい。
 
                                                                                                                                 平成28年3月24日 
国立大学法人宇都宮大学長 石田 朋靖
 
 
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