学びしかない日々
他大学からの入学はまた新たなスタートが切れるという楽しみが大きく、入学した時はとても嬉しく晴れやかな気持ちでいっぱいでした。研究室には明るくて優しい社会人院生の先輩方や学部生がおり、指導教員の石井大一朗先生も歓迎してくださいました。
宇都宮大学に来て少し驚いたことは、学内での講義はもちろんですが、学外での活動にも多く参加できる環境があることです。学生たちは、それぞれの興味に沿ってのびのびと活動をしており「私も何か活動したい」と自然に思えるとても刺激的な空間だと感じます。最初はやりたいことがよく分からなかった私でしたが、話を聞いてくれたり活動に気兼ねなく誘ってくれたりするので、たった1年間ですが、振り返るのも大変なほどたくさんの経験をしました。時には落ち込むようなこともありますが、貴重で前向きな成長ができていると思っています。
大学院生兼ハープ奏者兼養蜂家
私の研究テーマは、里山に暮らす人々の記憶による「ヤマ」の可視化です。栃木県の「ヤマ」と呼ぶ場所について、人々がどんな記憶を持っているかを明らかにするため、栃木県在住の山仕事をしてきた男性から「ヤマ」に関する記憶や定義を聞き取り調査しています。今記録しないと永久に失われてしまう、貴重なヤマに関する記憶を記録し後世に残すという意義があります。
私は社会人をしながら大学院で再び学んでいます。自営業でハープ奏者と養蜂家をしているのですが、長期履修制度を利用させていただき、仕事と研究を同時進行しています。
ずっとやってみたかった研究ができていることをとても幸せに思います。
授業については、住まいとは何かを考える「住環境・まちづくり論」が印象に残っています。現在受けている授業のアカデミックコミュニケーションは他分野の学生研究を知ることができるので大変興味深いです。
農業・農村経済学プログラム
不安の連続から、挑戦と学びの連続へ。
「せっかく進学するなら、学部生時代にできなかったことに挑戦したい」
大学院進学時に私が心に決めたことです。私は女性農業者に関する政策について、学部時代に学んだことをより深めたいと考え、進学を決断しました。とはいえ、同プログラム内に同期がおらず、最初は不安なことばかりでした。一人でもやっていけるだろうか、学部で卒業して就職したほうがよかったのではないだろうか…。ぐるぐると考える日も少なくありませんでした。ですが、講義が開講してからは、そうした不安にくよくよ悩む暇がないほど、様々なことに挑戦し、人に出会い、学ぶ機会の連続でした。先生方との議論、他プログラム生との議論やグループワーク、学会報告や他研究室と合同でのプレゼン、研究室の仲間と共に始めたプロジェクト、留学生チューター…。目まぐるしい日々のなかで学部時代できなかったことを経験し、少しずつ成長した実感があります。学びを地域に還元できる人となれるよう、残りの期間も研究に邁進していきます。
My Study Journey in Japan
Hi! I am OUM Amra from Cambodia. In late 2018, I embarked on an amazing journey to study in Japan. Currently, I am a second year of master’s degree student at Utsunomiya University in majoring in Agricultural Economics. It had been my dream to study abroad since I was an undergraduate student. Life in Japan has changed me quite in many ways more than I can even express in words. After overcoming homesickness, I started to be a more outgoing person, making friends, becoming open-minded, and being more active.
Barely did I need any adjustment to school life as much as I did with actual everyday life. It’s for the first time that I live apart from family in an apartment. Riding a bike to the supermarket, paying my own bills, and cooking my own meals, have really taught me about independence, bravery, responsibility, and sociable.
Taking the courses at Utsunomiya University is interesting because, besides my current major, I can attend with other faculties to learn various courses or skills. Also, students are required to join the seminar which is a kind of small group study or discussion every week with the professor who can follow up on my research. The seminar is new to me as I learn a lot from other students and the professor. They assist me to check and comments on the mistakes of my research. Furthermore, the university has a ton of extracurricular activities for students to interact with both Japanese students and international students. Although the Japanese language is initially one of the great barriers for me to move around easily in society, there are plenty of opportunities to learn Japanese both at Utsunomiya University and from Japanese friends that we exchange language teaching together between Japanese and English. They are willing to support and help improve language skills. One of the other great things about Utsunomiya University is the officers and professors. They supply and assist all the necessary support in dealing with administrative matters and offer kind-hearted guidance whenever we need it.
I strongly believe that Utsunomiya University is the best place to explore up-to-date knowledge in my field. The knowledge and experiences that I am acquiring in my master course will allow me to realize my dreams for the future, to help create a better world through my activities as a researcher, social worker, and patriotic citizen. I would like to say that Utsunomiya University is a great gateway to explore Japan.
Don’t miss out on an opportunity to become a student at this dynamic, leading university. Last but not least, I would like to express my deep gratitude to the MEXT scholarship for making my dream come true.
建築学プログラム
何になる,から何をする
私が常に意識していたのは目標(夢)を定めることです.医療の場に関わりたいという目標を設定し,計画分野に進み,医療の場の調査・研究によって知識と現場の空気感を知り,様々な設計活動では,ステークホルダーを巻き込んだコミュニケーションの経験といった,医療施設設計を行う企業に勤めるに足る思考プロセスを身に着ける努力をしていました.
目標を決める上で大切なのは,状況を客観的に観察することだと思います.私の場合,広域的にデータから社会全体を良い方向へ導く,または,狭域的に地域の人たちが使う建築を考える,どちらを目指すべきか迷いました.その答えのきっかけは研究室メンバーとのプロジェクトでの思考の差です.似たようで全く異なる分野を目標とする仲間とのコミュニケーションは,お互いが自分を見つめ直す絶好の機会と考えます.
目標を設定し自らを見つめ直す,大学院での活動によるそのサイクルで,自身の成長を促し,自らがより主体的に住み良い地域をつくることができるような人になれると思います.
土木工学プログラム
自分の関心に真摯に取り組む
私は都市計画研究室に所属しており、公園・緑地に関する研究を行っています。新型コロナウイルスの流行を背景に、生活様式が従来から大きく変化した社会情勢において、公園・緑地の存在が、健康的な生活を維持する上で重要視されるようになりました。学部生時代、このテーマに関心を持ち、卒業研究に取り組むようになってから、よりこの研究を発展させたいと思いより深く研究活動を行うため、大学院への進学を決めました。
大学院生活では、学会での発表が印象に残っています。博士前期課程1年で参加した長崎県での国際学会では、研究成果を英語で発表する機会がありました。そこでは他の大学の先生方や学生、企業の方とも意見交換ができたことに加え、都市計画分野の最先端の研究について触れられた貴重な経験でした。
大学院は、自分の関心があることに真摯に取り組んでいくことができる場であると思います。この2年間を通して得られる貴重な経験を、将来的な自身の強みとして、社会貢献に活かせるよう努力して参ります。
0→1、そしてさらに発展へ
私が学部のときに,「祭り」を通して,全国の地域や都市を訪問していました.そして,街づくりやインフラ整備に興味を持ち,高い技術を得るために,大学院へ進学し勉強することにしました.大学院の授業では,多分野のプログラムの学生たちと協力して,行う他分野融合の授業が充実しています.そこで,自分の知見が広がり,かつ自身の分野において新規的な活用に気づくこととなりました.具体的には,工学部の情報や機械プログラムの人たちと,土木プログラムの融合により,街づくりにおけるAI化や,災害時に情報伝達する際の効率化や,新しいシステムの構築などが挙げられました.
何事にも挑戦し行動してきた学部の頃に加えて,論理的かつ多角的な視野を持って研究や授業,課外活動に取り組むことで,一つ発展できていると感じています.この発展を繰り返して,就職後に高い技術力を身に着けていることを期待しています
農業土木学プログラム
爾の立てるところを深く掘れ
かつて、人間の生活する場と言えば農村でした。
今では、多くの人が町に住み、田畑を目にするのは長距離を移動するときに車窓からだけという人も少なくないかもしれません。ですが、農村に一歩足を踏み入れればそこには好奇心を刺激するものであふれています。農業土木学プログラムではそのような農村に係わる諸課題について研究を行っています。
そのなかで、私は農村に生息するフクロウについて研究を行っています。
農村は世界的に見ても非常に豊かな生態系を育む場です。そして、これは人々が農業を営むことでつくられた二次的自然と呼ばれる環境です。しかし、近年農業は衰退の道をたどっており、農村の生態系も危機にさらされています。
この豊かな生態系を未来に残すためにはどうすればよいか。大きな目標をそう定め、まずは隣人である生きものの生態を理解するところから研究を進めています。
大学院に進学して
私は農作業安全について研究しています.学部時代には自分で調査をする,というよりも,似た研究をする先輩と一緒に調査をする,という感覚に近かったのですが,大学院に進学したことにより,「自分の研究である」といった意識が強くなりました.その結果,農家さんへの聞き取り調査などではこれまで以上に多くの話を聞くことができ,自分の研究の意義を改めて考え直すことができました.大学や大学院で行われている研究にはすべて意味があります.それを深く理解できたことをうれしく思います.
また,大学院の授業では,自分とは異なる専攻の人たちと共に,様々な分野における課題について学ぶことができました.大学院は自分が専攻している分野について深く学ぶことがメインだと思っていますが,他分野について学ぶことも非常に興味深く,大切であると思います.
私は大学院に進学することで人として大きく成長することができました.残りのわずかな時間も,授業・勉強共に頑張りたいと思います.
グローバル・エリアスタディーズプログラム
常に主体性を持ち、問題解決の道を探ること
中国では石炭が深刻な環境問題を引き起こし、日本では2011年に原発事故がありました。環境問題を引き起こさないエネルギーとして、日中両国で推進されている太陽エネルギーを比較政治学の視点で考察してきました。
その一環で、昨年、鹿沼市と日光市に跨る横根高原にて予備実地調査を行いました。積極的に先生たちやNPOの方に連絡を取り、現地を見て情報や意見を交換しました。その結果、なぜ太陽光発電の建設に差し止め運動が起きているか、地元住民はどのように解決すべきと考えているか、知ることができました。この経験から、主体的に動き、現場の声を聞き創造的に解決策を模索する大切さを知りました。
大学院の授業の中で、私にとって一番スペシャルなのは「ゼミ」です。学問上の困難だけでなく、些細な生活上のことに至るまで、主体的に議論すれば、いつも問題解決の道がみえてきます。今後社会人になっても、常に主体性を持ち、成長していきたいと思います。
多文化共生学プログラム
新しい出会い・新しい学びが自分自身の成長につながる環境
私はベトナムの大学を卒業後、日本へ留学するという夢を叶えることができました。
2021年11月末、無事日本に到着した私は宇都宮大学大学院に進学したことで、これまでにない貴重な体験をすることができました。
まず、宇都宮大学は豊かな自然と研究環境に恵まれ、そのような中で私は多文化に触れ外国語のシャワーを浴びることができました。現在、私は国際的視点における「ひきこもり」について研究しています。私の国ではこの社会問題はまだ目新しいものであり、あまり注目されていない状態です。大学院での研究を通して、私は社会における「ひきこもり」の深刻さを見いだすと共に、日本などの先進国に「ひきこもり」特有の要素が存在するということを理解するようになりました。現在引き続き研究を進めており、その成果が出せるよう全力を注いでいるところです。大学院で研究しているテーマは、将来自分が就きたいと考えている仕事の選択にも影響を与え、将来は弱者や若者と共に社会問題を解決していくような業界での就職を目指しています。
また、宇都宮大学では自分が専攻している以外の分野にも深く触れる機会が与えられ、そのおかげで人生並びに国際世界に対する視野を広げることができました。そして自分自身に対して徐々に自信を持ち、チャレンジ精神を養いながら成長していると実感しています。
大学院での研究以外では、日本語スピーチコンテストに挑戦したり「いちご一会とちぎ国体」の運営ボランティア活動に参加したりなど、多くの忘れられない思い出ができました。とりわけ、2023年3月には海外インターンシッププログラムに参加し、台湾に二週間滞在しました。中国語を学んだり、未知の国に足を踏んだり、台湾の大学生の前で日本のことや母国のことなどを日本語で紹介したりしましたが、どれも初めての体験ばかりで、私にはとても新鮮に感じました。
これら全ては、一生の内で最も美しい青春時代の一ページを形作っていくモザイクのように感じられます。また、指導教員並びに宇都宮大学の先生方からは多くの貴重なご指導ご鞭撻をいただき、心より感謝の意を表すと共に、宇都宮大学に在学している時間をさらに有意義に過ごしていきたいと願っています。
大学院進学の夢を叶えて自分の価値を高めた
私は地域創生科学研究科に一期生として入学したので、入学する前からどんな研究科であるのか、ものすごい好奇心が湧いていました。入学してみたら想像以上に楽しい学生生活になり、日本の多文化社会に関するいろいろな問題も発見することができました。
指導教員の社会学の田巻松雄さんのゼミ(私たちのゼミでは教員を~さんと呼んでいます)では、公立夜間中学校と中国残留邦人などに関連する研究に取り組んでいます。先日、田巻さんと関西にフィールドワークに行ったのですが、研究していることの内容の理解がとても深まりました。また、文理融合・分野融合を目的としたグローバルに関する合宿授業、実践力科目の中の英語授業などを通して自分のコミュニケーション力を高めています。
勉強・研究以外でも様々な活動を行っています。例えば私は宇都宮大学HANDS事業の「多言語による高校進学ガイダンス」に参加し、自分の習った日本語と母語の中国語で中国人生徒や保護者を支援することができ嬉しいです。学生ボランティアの活動もあって課外活動が本当に豊富かつグローバル的です。就活の時も自分の学生生活を語る豊富な材料があったことが良かったのか、内定もいただくことができました。
これからは修士論文にもっともっと集中し自身を成長させることに力を注いでいきたいと思います。
地域人間発達支援学プログラム
自身の“好き”を“学び”へ
私が大学院の進学を決めた理由は、学部で身に付けた「食に関する知識」や「教育力」を活かして、食教育に関する専門性を深めたいと考えたからです。学部時代は、教育学部で家庭科教員としての力量を身に付け、子どもたちの生活を豊かにすることを目標に学んでいました。教育の経験を重ねていくうちに、自身の持つスキルをもっと幅広い世代のために活かしたいという心が芽生え、食に関する研究に専念でき、学校から地域の人へと学習の視野を広げることのできる地域人間発達支援学プログラムを選びました。大学院に進学した後も、自身のこれまで培ってきた学びをどのように活かすことができるかを考え、スキルアップとキャリア形成を見据えた活動を充実させることができています。教授陣も研究や学生の将来について親身に寄り添ってくださるため、手厚い指導を受けることができ、修士論文の完成に励んでいるところです。教職としての専門性を深めることも可能なので、教職大学院とは違った視点で研究できるのも魅力です。
今しかできないことを全力で
「せっかく大学院に進学するのなら、今しかできないことをしてみたら?」
これは入学後に母から言われた一言です。社会人として働く同級生がほとんどの中、私は大学院への進学を選択しました。学部生の時に学んできた音楽のことや教育のことをより学びたいと思ったことが進学への決め手ですが、この言葉によりそれだけが学びではないと視野を広げるきっかけとなりました。
大学院の講義では所属するプログラムの開講科目にとらわれず、気になる他プログラムの講義も受講しました。そこでは留学生や社会人学生の方々など様々背景を持った人たちと一緒に学ぶことで新しい考えや視点を得ることができたように思います。
大学以外としては、以前から興味のあったインドネシアバリのガムランを体験するために東京に足を運びました。そこでは学生時代は音楽なんか大嫌いだったという年配の方が楽しそうに演奏し、ガムランの先生とは何年ものお付き合いになるという方がいらっしゃいました。そのほかの方々も純粋に音楽を楽しんでいることがひしひしと感じられる時間でした。楽しいと思える音楽の時間がそこにはありました。
大学院生活を通して地域の様々な「人」と関わる機会に恵まれていると実感しています。この「人」との出会いを大切にするとともに、研究に生かしていきたいと思います。
光工学プログラム
議論の場の活用
私が大学院に進学して一番感じていることは議論の場が非常に多いことです。
私は空中ディスプレイについて研究しており、所属研究室では1年の内に学会発表、デモ展示といった外部の方々に研究成果を発表する機会が何度もあります。また院進後の講義は、異分野間でのグループワークも多く、研究テーマが全く異なる方と意見を交わす回数が増えてきます。これらは自身の研究への理解を深め、新しい視点を得るきっかけになります。
例えば、光学系の歪みによって結像される空中像に収差が発生してしまっていた際、その収差を低減することばかり考えていました。しかしながら、敢えて意図的な歪みを発生させ収差を利用することで立体的な空中像の表現をするアプローチもあることに気が付くことが出来ました。
現在は熱工学研究室の先生にも協力して頂き、充実した環境で研究を進めることが出来ています。卒業までに与えられた議論の場を十分に活用し、今後に活かしていきたいと思います。
教科書を疑え
大学院入学後に指導頂いたことは,「教科書を疑え」ということでした.我々学生にとって,教科書とは正解が書いてあるという認識です.一般的に授業は教科書に沿って進んでいくので,間違いなどあっては授業自体破綻しますから、教科書を疑うという行為自体ありえないと考えていました.しかしながら,研究生活を送るなかで本質はそこではないことに気付きました.
例えば,中学校で習うオームの法則のV=IRは本当にあっているかと疑問に持ったとします.V=IRを証明するために教科書に書いてある論理を順に確認していきます.この時に初めて物理描写も含めてどのようにV=IRが成り立ったかを理解します.つまり教科書を疑えとは個人によって見解は異なりますが,「自分の頭で考え,納得するまで考えろ」ということでした.本質に気付いてから,本当にこれであっているのか?何故この結果になったのか?何故このルールが成立したか?などあらゆることに疑問を持ち結果に対する原因を考えられるようになりました.
分子農学プログラム
学んだことを生かして
高校在学中に宇都宮大学グローバルサイエンスキャンパス(iP-U)でウシの卵巣や卵子を見て興味を抱き、本学農学部に進学しました。そして、現在は大学院で動物育種繫殖学研究室に所属し、加齢過程におけるマウスの卵巣機能を解析しています。哺乳類では加齢に伴って生殖能力が低下することが知られています。近年、体外受精や胚移植などの生殖補助技術はヒトの不妊治療にも用いられており、臨床現場においても様々な年齢で治療が行われています。大学院では農学や生殖医学の幅広い知見を深め、日々研究活動に励んでいます。授業では発表を通して、研究内容を的確に伝えるスキルを磨く良い機会となっています。所属している分子農学プログラムでは高等学校教諭専修免許状(農業)の取得が可能です。学校教育の様々な課題を他プログラムの学生や留学生と議論することで、新しい価値観に出会うことができます。修了後は学んだことを生かして、「幅広い視野と確かな指導力をもった教師」として、農業高校で農業を支える次世代の教育に携わる予定です。
狭く深い知識から、広く深い知識へ
研究室においては、農作物の病気の原因となる植物ウイルスを防除するため、植物ウイルスワクチン株の遺伝子解析を行っています。修士課程では、学部時からさらに実験経験を積み、知識を蓄えることで、多くの解析を行えるようになります。また、所属する分子農学プログラムは、ゲノミクス研究棟の実験装置を利用して分子生物学的な解析を行う研究室が集まっており、より良い手法など、研究を深める上で有益な情報を得やすい環境だと実感しています。
研究室内やプログラム内で専門を深めるのはもちろんですが、研究科の必修科目では、他分野の学生と共に受講する授業が多くあります。そこでの、専門外の人に向けた研究内容の発表や、専門知識を出し合うグループディスカッションを通して、コミュニケーション能力はもちろん、多面的な思考力が鍛えられます。ここでの経験は、就職活動の面接や集団討論でも活かせました。
研究室単位での狭く深い知識から、プログラム、そして研究科単位で新たな視野を獲得し、より広く、より深い知識へと発展させられるように日々邁進しています。
物質環境化学プログラム
様々な成長ができる場所
私が所属する界面化学研究室では、モノとモノの境界面で生じる様々な現象について研究しています。様々な現象の中で、私は日常何気なく存在する「泡」を研究対象として、混合成分の存在比が泡膜(泡表面に界面活性剤が吸着した膜)に及ぼす影響について研究しています。実は「泡」と一言で片付けられない程、複雑な現象が日々観測され、新たな発見が尽きません。
大学院での研究生活では、自らの研究テーマに関係する専門的な知識が得られるだけでなく、様々な実験条件から結果を予測しながら研究を遂行する実践力も培うことができていると感じます。また、研究室へ配属した当初は、研究室内での研究発表を通してコミュニケーションの難しさを痛感しましたが、今は多くの方々の助言を受けて「情報伝達力」も向上していると感じます。
このように専門分野の知見を深めつつ、人間として成長する機会が与えられている大学院での生活は大変魅力があると私は思います。
「見えない」から「見える」へ
私が所属している計測化学研究室では、「見えないものを見えるようにする」をモットーに、さまざまな化学的分析手法を用いて物質の新たな定量法の開発が行われています。私の行っている研究は、蛍光性高分子が示す蛍光の強度が連続的にゆらぐ現象の解明です。特に蛍光性高分子の構造に焦点を当てて、組成の違いによるゆらぎの変化を観察しています。得られた知見から詳細なメカニズムを明らかにします。
研究室ではのびのびと実験できる環境が与えられており、教授からの指導を経て論理的な思考や知識、技術が養われます。定期的に実施されるミーティングや、研究発表の練習では、院生、学部生、教授が交り合い熱心にディスカッションを行います。他の人からの指摘や意見により、自分ひとりだけでは見えなかった世界が広がっていく感覚は、何にも代えがたい研究活動の醍醐味です。大学院での生活は多忙で、難関な課題にぶつかることも多いですが、その経験を通してスキルアップできる、絶好の機会だと思います。
農芸化学プログラム
大学院で培える力
私は研究を沢山行いたいという理由から大学院へ進学することを決めました。研究室ではコラーゲンが分解されることで生じるコラーゲン由来のペプチドが腸管でどのように吸収され血液中へと移行するのか、腸管吸収メカニズム解析を目的として研究を進めています。実験は上手くいかないことも多々ありますが、研究室内外の先生方からご指導を頂きつつ、結果が出せるよう励んでいます。実験だけではなく、研究室内のゼミで研究進捗や論文発表などを行っており、指導教員の先生や先輩、後輩達と和気藹々としながらも研鑽を深めています。また、大学院では異なる学問を修める人達が集まりグループワークやプレゼンテーションをする講義があります。自分の意見を相手に対し論理的に分かりやすく伝えるにはどうすれば良いか、相手の発表に対して不明点、疑問点として何が挙げられるか、今後社会に出て働く上で己の糧となる多くの経験を大学院生活の中で培うことができると思います。
探究心をカタチに
私は、小学生の頃からの目標であった「牛乳」について研究を進めたいという思いを実現するために、農芸化学プログラムへ進学しました。現在は、食品成分やアミノ酸などの栄養素による生体調節機能のメカニズム解明を研究テーマとする栄養制御学研究室に所属しています。大学院に進学してからは、念願だった牛乳をテーマに、マウスを用いて牛乳摂取による脳内神経伝達物質の変化を解析しています。「牛乳を飲むとよく眠れると言われるのはなぜだろう?」というささやかな「なぜ?」に対する探究心をカタチにすべく、そのエビデンスを得るため日々研究に励んでいます。幼い頃からの一途な思いが、現在の私を突き動かしているのです。農芸化学プログラムでは、他の研究室の先生方からも研究に関するアドバイスをいただける機会が多く、その風通しの良い環境に私自身とても助けられています。身近に相談できる先生方がいらっしゃるからこそ、新しい実験にもチャレンジすることが出来ています。
修了後に就職する乳業メーカーでは、沢山の人々に「笑顔」を届けられるように、現在の研究を少しでも活かしていくことが出来たら嬉しく思います。
機械知能工学プログラム
自身の成長
これまでの学生生活を振り返って、色々な人と関わり、色々な事を学ぶことが出来たと感じています。私は自分のやりたいことのために博士前期課程から宇都宮大学に来たため、周りが何も分からない状態でした。そんな新しい環境での生活の中で一番良かったことが研究室のメンバーと仲良くなれたことです。授業のことだけでなく研究のこと、就職活動のことをお互いに助け合いながら楽しく学生生活を送ることができています。
研究では、人の運動中の筋活動について筋電図を用いて研究を行っており、筋は運動中にどんな活動をしているのか、どれくらいの筋力を出しているのかなど、人体についての知識は生活していく上であっても困らないものなので、とても興味深く研究を行っています。
皆さんもぜひ、たくさんの人と関わって色々な知識や考え方を吸収していってください。視野が広がることで人生の選択肢が増えて自分の成長にもつながりますし、自分だけでなく誰かの役にも立つはずです。
人とのつながりを大切に
これまでの大学生活を通して、最も重要だと思ったことは、人と関わることです。高校生の中には、将来に具体性をもてない人がいると思います。そんな時にヒントを与え、助けてくれるのは、周りの人たちとのつながりです。
わたしは、学部卒業後、大学院に進学し、現在、マテリアル工学研究室に所属しています。そこには、ふざけ合いながらも、やるときは真剣にやる先輩・後輩がいます。研究室の生活を通して、毎日良い刺激を受け、時には助けてもらいながら、研究を行うことが出来ています。そんな環境が、将来を考える為のきっかけになり、自分がやりたいと思うことを具体的にしてくれました。
また、学校生活以外にも、課外活動やアルバイト等で多くのつながりを持つことが出来ました。人と会話することにより、様々な価値観に触れ、視野が広がりました。
大学生活で培った、人とのつながりは、私の考え方を多種多様にしてくれています。みなさんもぜひ、自由な大学の時間の中で多くの人と会話をしてみてください。進路だけではなく、これからの人生の助けになるかもしれません。
好きなことに打ち込む
私の研究は、異なるOSを搭載した計算機(パソコン、タブレット等)を複数用いて並列処理を試みる、ということを行っています。元々、パソコンそのものの仕組みに興味があったため、そこから転じて計算機の処理の高速化に関心を持ち、現在所属する研究室にお世話になっております。
大学院は、自分の好きなことに打ち込める環境が整っていると感じています。自分では揃えられない様な機器を使用することや、先生方に相談、アドバイスを頂ける環境は、やりたいことをやれるだけやるには最適だと思います。就活でも、卒業研究や学会発表の経験などは、面接の場で有利に働くこともありました。
学部と異なる点は、より「主体性」を求められることです。研究に関して、何をどうアプローチし、どう解決するかは、先生にも相談しつつ自分でやることになります。しかし、これは学術的にも、人間的にも成長できる良いチャンスだと思います。自分のやりたいことが明確であり、それに打ち込みたい人は、大学院への進学も良い選択肢だと思います。
興味をもったことを突き詰める
私は、高速かつ高精度にねらった場所へ物を動かすためにはどうすればよいかを研究しています。研究で取り扱っている制御方法は、ハードディスクのようにナノメートルオーダの正確さが要求される装置の制御にも使われています。
大学院は、自分が興味をもったものについて徹底的に調べることができる最高の機会だと思います。実験やシミュレーション環境は研究室に用意されていますし、専門の先生から意見をもらうこともできます。 私自身も、趣味でロボットのプログラミングのようなことをやっていてどうすれば正確に動かせるかに興味がありました。何も知識をつけずにやっていた時よりも、研究の中で身に着けた制御を使う今の方が、より正確な動作を実現できます。興味があるから取り組みたくなりますし、その中でいろいろなやり方や考え方を知るのは楽しいです。やってみたいことがあるなら、大学院を選択肢の一つとして考えてみてください。
研究の醍醐味
私は、布地の質感はどのように認識されるのかを明らかにする「布地の質感認識の研究」を行っています。特に、布地に手が触れた時の粗さ感や温かさ感等の印象を定量的に評価し、それに関わる物理的特性の探究を行っています。これまでに得られた成果を学会発表することで研究奨励賞の獲得に至りました。私にとって大学院生活は、研究を通して様々な実験機器や装置に触れながら、自由かつ主体的にものづくり・研究ができる最高の場だと思います。しかし、自由である代わりに自分で考え行動しなくては何もできないまま終わってしまうことも事実です。この場を魅力的に過ごすために、自分のやりたいことをよく考えて、既存の方法にとらわれない新たな方法を試行錯誤しながら見出し、目標達成につなげる。それが研究の醍醐味だと思っています。お陰様で、現在は将来に直結するスキルを身につけて、とても有意義な大学院生活を過ごせていると実感しています。
農業生産環境保全学プログラム
コミュニケーション能力を磨く
植物は、土壌中のリン濃度に応じて、根を増やしたり減らしたりする応答を示します。私は、こうした応答のメカニズムを解明することで、作物のリン肥料の利用効率を高める栽培技術の確立を目指しています。学部生のときに、この研究で興味深い成果が得られたため、大学院進学を決めました。
地域創生科学研究科のカリキュラムでは、他の専門分野の学生とディスカッションする機会が多くあります。私は、人と話すことに苦手意識がありましたが、これら講義を通して、専門的な内容を含んだコミュニケーション能力を磨くことができました。この能力は、学会発表などの学外の活動において役立ち、優秀発表賞を受賞するなど高く評価していただきました。こうした経験が今後も研究を続ける自信になって、研究に携わる仕事に就くことが決まりました。研究が好きで、コミュニケーション能力を高めたい方には、ぜひ大学院への進学をおすすめします。
切り花の香気成分保持に関する研究
元々は他大学で化学系の学科に所属し、植物成分の合成に関する研究を行っていました。学部の研究を通じて植物そのものに興味が沸いたため、大学院では研究分野を変えようと決意しました。受験校を調べる中で、文理や専門の垣根がなく、自分の学びたい分野と学んできた分野の両立が図れる地域創生科学研究科に出会い、現在に至ります。入学してみると植物や農業に関連する授業だけでなく、化学に関する授業もいくつか履修することができました。特に農業生産環境保全学プログラムでは最先端かつ専門的な農業全般に関する分野の授業があるため、農業を営む自分の祖父母・親戚に還元できる知識も多く身につけることができました。また、研究内容も植物の知識だけでなく、化学の知識も必要とする切り花の香気成分に着目した研究に取り組んでいます。大学院で新たな学問に挑戦し、新たな発見をできる日々は想像以上に充実しており、進学をして良かったと感じています。
森林生産保全学プログラム
自分の「好き」を学ぶ
私は昔から植物が好きで、その中でも特に樹木が大好きでした。そこで樹木について多面的に学びたいと思い宇都宮大学の森林科学科に入学しました。樹木を生態学や化学、工学、政策学など幅広い観点から学び、その上で一番興味を持った分野を専攻できる研究室に所属し、大学院に進学し勉強を続けています。現在は「キリ」という樹種の国内における形態的・遺伝的多様性を研究しています。
当たり前のことかもしれませんが、好きなことを学ぶことは楽しいことです。私はその「楽しい」という気持ちが原動力なので、その対象が何であれ、「好き」「興味がある」と感じたものには主体的に挑戦していくことが重要だと考えています。大学院は自分の「好き」を深く追求し、多方面に広げていくことができる環境だと感じています。実際に、自分の専門分野はもちろんそれ以外の講義を受講したり、色んな人と関わったりする機会が多いため、知識を深めるだけでなく新たな興味・視点を得ることができました。大学院で得た原動力が今後も新たな「好き」に繋がると感じています。
再び学ぶ
私は、ナラ・カシ類を集団枯死させるカシノナガキクイムシについての研究をしています。このカシノナガキクイムシによる被害は、通称「ナラ枯れ」といわれています。1980年代より日本海側から被害が拡大してきていて、近年関東地方でも被害が見られるようになりました。ナラ・カシ類は、私たちの身近に存在する樹木であり、枯死による景観の悪化や倒木が懸念されることから、被害防除が急務とされています。このナラ枯れ被害の拡大要因の推定および被害防除の一助とするために、日々実験に取り組んでいます。
私は学部時代を宇都宮大学で過ごし、社会人経験を経て再び大学院生として戻ってきました。社会の場では専門性も重要ですが、様々な人との関わりの中で、多様な視点から物事を見ることも重要であると感じました。本研究科では幅広い講義が用意されており、多様な知識やスキルを身に付けることができるため、社会人としても重要なスキルを学べるのではないかと思います。今後も大学という環境を最大限活用し、スキルアップを図りたいと考えています。
自分の強みを見つめ直す
大学院といえば、学部生の頃に培った専門性を生かし、より「深い」研究をするための場所というイメージがあるのではないでしょうか。もちろんそういった側面もありますが、工農総合科学専攻になってからは、他領域に足を踏み出す主体的かつ積極的な行動力も重視されているように感じます。
地域創生リテラシー科目では、他学部の人とグループを作り、メンバーそれぞれの研究を連携させて一つの目標を設定し他の受講者に発表する科目があります。私自身、こうした授業によって対外的なコミュニケーション能力と多分野横断的な思考を身につけることができました。また、興味次第で自分の専門分野とはかけ離れた講義を受講することもでき、学びの幅が大きく広がっています。
私は森林、特に樹木の幹について研究しており、専門性が非常に高い分野であると自覚していますが、そうした研究の概要について全く知らない人に紹介することで自分の理解を見つめ直す機会にもなり、研究自体が進展することもありました。専門と多分野両方の学びに触れることで、自らの将来もより広い視点で見通すことができると感じます。